トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2016年8月28日日曜日

VIA鉄道ナイアガラ列車カフェ・カーとNOTLのWEGOバス



東部カナダを旅していると、公共交通機関の重要性が増し利便性が高くなっていると実際肌で感じます。これはナイアガラでも同様の状況でした。
鉄道はクルマより不便なのだろうか?

公共交通機関の重要性が増す理由は様々でしょうが、一般道やハイウエイに溢れかえるクルマが引き起こす渋滞に辟易(へきえき)していることが大きく影響していることは間違いありません。気分転換のためにわざわざ旅に出て、渋滞のイライラに出会えば気分は台無しです。「クルマは便利」という理由から鉄道利用は敬遠されてきましたが、いったい誰に対して便利なのかと考えることがあります。今のように旅が多様化し、旅行者自身が数多くのオプションから自分に合ったスタイルを選ぶようになると、あらためて鉄道を見直す機運が出るのもうなずけます。
政府も、街に溢れかえるクルマの問題に頭を悩ませ、解決のために1960年代に爆発的に起きたモータリゼーションに変わる次世代の交通機関をデザインし整備を行う大胆な予算措置を行い始めています。CO2排出がクルマと比較して少ないことも、鉄道利用の気運を高めてくれます。ナイアガラへのアクセスは、シャトルバスなどクルマがまだまだ主流ですが、VIAが伝統の列車を運行し続けていることに加え、近郊鉄道のGOトランジットがナイアガラへ積極的に直通列車を走らせたことで、トレンドが変わりはじめています。クルマを売って他に移動手段がないという個人的理由も後押しとなり、今この時期にVIAに乗り、もう一度ナイアガラへの公共交通機関を使ったアクセスの可能性について考えてみたいと思ったわけです。本当にクルマの方が便利なのかどうか、実際にこの目で見て体験しなければ、わからないですよね。

アムトラック「メープルリーフ号」

トロント・ユニオン駅を出発する列車は、VIA鉄道の路線を走りますが、運営はアメリカ全土にネットワークを持つアムトラック。名前はメープルリーフ号とついていますが、ニューヨークまでの路線の大部分はアメリカを走ります。

カナダ側ではVIAのスタッフが任にあたるものの、機関車と客車はアムトラック所有のもの。従って、外観はおろか車内に入ると空気が違うのに驚かされます。どこがどう、ということを言葉で表すのは難しいのですが、やはり国境を越える列車であるということが空気感の違いに大きな影響を与えているのでしょう。

カフェ・カーは秀逸

ユニオン駅を午前8時20分に発車するメープルリーフ号。車内検札が終わると、カフェ・カーが営業を開始します。

VIAの場合、日本ではすでに廃止された係員がカートを押してコーヒーや軽食を売りに来る(エコノミーの場合)サービスがお馴染みですよね。

メープルリーフ号には、このサービスはありません。代りに、車列の最後尾ビジネスクラスがある車両カフェカーを利用します。この車両は3分割される構造で、ラウンジ+カフェ販売カウンター+ビジネス座席という作りになっています。

ここにエコノミー客がぞろぞろとやってきて、コーヒーなどを買い求める。日本の長距離列車で昔馴染みのある食堂車のイメージです。

ラウンジを楽しむ

カフェカーの醍醐味は、ラウンジ部分のスペース。大きなテーブルを挟んだ4人席が6組ほどあり、ここに腰をおろして列車旅の旅情をたっぷり味わうことにある、と思っています。

マンチェスターからユーストン行きのペンドリーノに乗った時も、ファーストクラスにはドアを隔てて調理施設がありました。 VIAの大陸横断鉄道カナディアン号では、ダイニングカー(食堂車)が独立してあり、どちらもテーブルを囲む4人席でした。人生で初めて一人旅をした時にも、当時乗った国鉄の寝台特急には食堂車がありました。こんな記憶が、ラウンジ部分に惹かれる部分となっているようです。

ラウンジはそれほど広くはありません。座席を長く占有することのないよう、利用状況を見ながらという配慮は必要ですね。ただ、見ていると乗客の多くはコーヒーを持って座席に帰ってしまいます。誰もいなくなると、乗務員とカフェ担当者がおしゃべりをしながら過ごすこともあり、なんとものんびりとした時間が流れることになります。まるでローカル線の旅、といったところでしょうか。

座席に備え付けのテーブルを出してコーヒーを飲むより、広々としたダイニングテーブルで過ごす方がいいですよね。ナイアガラ到着40分ほど前のラストコールまで、座席とカフェカーを行ったり来たり、ラウンジの車窓から景色を見ながら過ごします。

景色が綺麗なのは・・・

綺麗なのは、バーリントンのカーブを曲がるところと、セントキャサリンズ駅を過ぎた後。バーリントンは、オンタリオ湖が湾になっている場所を曲がりながら進む景色(進行方向左側)、セントキャサリンズは森のなかを進む景色。それぞれが印象的です。

タイミングが合えば、ウエランド運河を進む大型タンカーを間近に見ることができるかもしれません(進行方向右側)。



WEGO接続の注意点

ナイアガラ駅に到着すると、最初に一度停車をしますが、これはアメリカ側のスタッフによる入れ替え作業のためドアは開きません。数分すると数百メートル前に進み停車します。これがドアが開く合図です。

観光エリアに向かうには、駅舎を出た正面のバスターミナル前のWEGOバス停から、グリーン線に乗りテーブルロックまで15分ほど。事前にナイアガラパークスのアトラクション・パッケージを買っている場合は、プリントアウトを持参すればそのままバスに乗り、Queen Victoria Parkかテーブルロックにあるビジターセンターでパスを入手する形になります。

パッケージを買う予定がなく、WEGOだけなら、バスターミナルの売り場で24時間パスを入手します。

NOTL(ナイアガラ・オン・ザ・レイク)へも

観光エリアは南行きに乗りますが、NOTLへ向かう場合は、反対側の北行きバス停から花時計まで行き、ギフトショップで乗り換えチケットを別に買います。

NOTL行きのバスは1時間に1本。ショッピングとお食事が目当ての街ですから2時間もいれば充分でしょう。午後6時が終バスですから、4時あるいは5時のバスに乗るように計画をしておくと、ちょうど良いように思います。

NOTL行きのバスは3年目だということですが、まだまだ試験段階でもありそれほど利用者は多くありません。スケジュールも「だいたい」という感じで走っていて、バスによっては花時計まで行き、そこから車庫に戻る場合そのままお客さんを乗せて走ったりもします。注意点は、テーブルロックから花時計までの所要時間がたっぷり40分以上かかるということです。1時間に1本ですから、逆算して乗り遅れないようにしましょう。

それでも公共交通機関でNOTLまで自力で行けるのは、大変ありがたいサービスというべきでしょう。ナイアガラ観光の幅が大きく広がります。

ナイアガラから帰りの注意点として・・・
ナイアガラ駅はほぼ「無人駅」ですから、VIAを使うならスマホにアプリを入れてチケットを買うという方法をおすすめします。駅のキオスクは銀行カード(デビッド)しか受け付けませんし、エラーが出ることも多いので信頼性は高くないという印象です。

トロント〜ナイアガラは国境を越える前なので、スケジュール通りに運行されます。実際の時刻を見ると大幅な遅れはないようですが、アメリカ側からナイアガラに入ってくる列車は手前で国境を越える関係でアメリカ側で何かが起きた場合スケジュール遅延のリスクがある、ということは覚えておくべきでしょう。

帰りは時間にもよりますが、GOを乗り継ぐか安いバスで帰るという選択肢も頭に入れておくといいかもしれません。バスは安さ(28ドル、VIAは片道37ドル)がウリでほぼ満席で走りますから、午後5時台はすぐに売り切れます。

GOはバーリントンまでがバス。そこから列車に乗り継ぎます。荷物が多い場合は、乗り降りに苦労するでしょう。

公共交通機関を使う場合、こういった状況判断に迫られる場合がありますので、ある程度旅慣れているということも求められます。この辺に不安がある場合は、無理せずドアツードアのシャトルサービスをお勧めします。