トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2016年6月28日火曜日

トロントの街を自転車でポタリング〜 Tollkeepers' Cottage



前回ブロンプトンで行ったポタリングで見つけた、Davemport Rd.(以下ダベンポート・ロード)のモニュメント。その後詳しく調べているうちに分かったことなどについて、今回は書いてみたいと思います。

昔ここには料金所があった

ダベンポート・ロードがカナダファーストネーションズ(先住民族)の重要な輸送路として、イギリス人による植民地化が起こる前から使われていたことは、前回のポタリングで気がついたことでした。

前回のブログ:http://blog.makotophotography.ca/2016/06/blog-post_5.html

トロントが街として始まった当時、この道には街に入るための料金所(Tollgate)があったという興味深い事実に突き当たりました。さらに現存するものがカサロマ城のそばにあるというので、早速自転車で向かったというのが今回の物語の始まりです。



目的地はバサースト(Bathurst St.)とダベンポート・ロードの交差点にある The Tollkeeper's Park。Google Map だとトロント市庁舎前から23分。最初は緩やかな上りですが、全体としては平坦で、特に週末はクルマが少ないので走りやすい道です。



実はこの日はデュポンを走りバサーストを北に上がるというルートを走ったのですが、目に入ってきたのがこの看板。Tollkeeper's Ln (トールキーパーズ・レーン)という路地の名前がどういう意味なのかと思ったわけです。



そんなことを頭に入れ建物を訪れましたが、ここは Tollkeepers Park という名前の公園になっていて、奥に建物があるという形になっていました。



通りに面する大きな木の下には、ダベンポート・ロードについて書かれたパネルが設置されています。



建物は2棟続きになっていて、奥の茶色い建物の入り口には Tollkeepers' Cottage Museum という看板が埋め込まれています。展示施設があるようです。



隣にはこんなパネルもありました。読んでみるとここはコミュニティーが支える歴史プロジェクトの一環で運営されている博物館だということが書かれていました。なかなかお目にかかることのない珍しい形ですね。



昔のこの辺一帯を表す絵を見ると、ずいぶんと違う景色だったのですね。絵の真ん中にぽつんと家がありますが、これが今回訪れている Tollkeepers' Cottage (料金所の管理人が住むコテージ)です。

ドアを開けて中に入ってみます



なんだかアットホームな感じです。



ちょうどコスチュームを着た女性が別なグループになにやら説明をしている途中でした。たまたまここを訪れていた方々としゃべっていると挨拶をしてくれたので、手短にここに来た理由を説明すると親切に館内(といってもこの部屋と隣の家だけですが)を解説してくれるというのでお願いすることにしました。彼女の名前を聞き忘れてしまったのですが、おそらくこの方が Mrs.Tollkeeper と呼ばれているドリーンさんだと思います。

詳しくお話をお伺いしてきました



時代は1830年代にさかのぼります。当時トロント市は企業に道路管理を許可していて、保守管理の資金集めを兼ねてダベンポート・ロードには合計5箇所の料金所がありました。ここは Tollgate #3 と呼ばれるものです。話によると、1番はヤングの交差点(モニュメントのある場所)、2番はアベニューだとか。今となっては現存するのはこの #3 だけで、当時はここで料金を払って市街地から市内へと入るというような仕組みになっていたわけです。この白いゲートは、当時を模して作られたものだそうです。



これが当時のシティから許可を得た料金所だったことを示す資料。料金も記されていますね。



博物館にはジオラマが置かれていて、壁には地図など当時を振り返ることができるようになっていました。



一通りお話を聞いた後、今度はお隣の実際のコテージに移ります。外から見ると白い手前の建物になりますが、部屋に入るつなぎの部分では実際にコテージの材質を見ることができるようになっています。基本部分は1本の木を切り倒して作ったことが調査によってわかっています。当時のトロントは大きな木がたくさんありましたから木造建築が主流でしたが、20世紀初めにトロントは大火を経験したことから煉瓦造りとする法律が決められ、純粋な木造建築は影を潜めてしまいました。そういう意味でも歴史を伝える貴重な建物ということになり、この種の建物としてはカナダの中でも最古の部類に属している貴重な建物です。



これは最初のお部屋。ここに住んでいた家族は、郊外からより安定した生活を求めて移ってきた経歴があり、質素な部屋は当時の労働者階級の生活を代表するものだということです。



これはベッドルーム。



実はこのコテージは、もともと別な場所にあったものがここへと移し替えられました。元あった場所がどこかというと、それが来るときに見た通りの看板がある場所だったわけで、長くこのコテージは民家の一部として普通に使われていたのだそうです。実は歴史的にとても重要な建物であることがわかると、トロントに住む教師や歴史研究家が運営する CHP(コミュニティー・ヒストリー・プロジェクト)が主導的役割を果たしてトロント市にかけあい、保存活動が行われ現在に至るという歴史を辿ります。



入り口のところに埋め込まれているプレートは、そのことを示したものです。

ここは、ハイパークのコルボーンロッジと対になる建物と言えるでしょう。コルボーンロッジはシティを設計した技術者の家でしたから、ここよりもはるかに収入は多い家庭の生活を映し出しています。この2つを訪れると、トロントの創成期の市民の暮らしがよく分かるようになります。
(コルボーンロッジの参考ブログ:http://blog.makotophotography.ca/2011/10/19.html

ボランティアで運営されているため、空いているのは毎週土曜日午前11時から午後5時まで。詳細は下記のウエブサイトをご覧ください。
The Tollkeeper's Cottage(http://www.tollkeeperscottage.ca/