トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2015年8月14日金曜日

トロントからヨーロッパ旅(8) ロンドンで「コーヒーハウス」というパブに入る



ロンドン滞在2日目。午前中は英国銀行の貨幣博物館でイギリスの貨幣の歴史を学んで、お昼前にはマグナカルタを見るために大英図書館に向かいましたので、もろもろ終わったのは3時前。途中コンビニ的な所でサンドイッチを買ってつまんだものの、まともな食事をしていなかったので、食事も兼ねてSOHOの「OLD COFFEE HOUSE」へ向かうこととしました。

ロンドンのコーヒーハウスはパブだった


前回訪れたパスカ・ロゼの店は残念ながら外観だけで、中に入ることができませんでしたので、できればどこかのコーヒーハウスに入ってみたいと思っていましたが、ちょうど時間とタイミングが合ったのでラッキーでした。

すでに飛行機代とホテル代、移動の列車代で予算を使い果たしていました。食事は地元のスーパーでサラダとパスタの惣菜パッケージを見つけてはホテルに持ち帰って食べるというふうに過ごすスタイル。気楽な一人旅でしたから、特に問題を感じることもありませんが、さすがに1度くらいはロンドンのレストランで座って食べてみたいとも思っていました。振り返ると、これが最初で最後のレストラン(?)での食事でしたね。



コーヒーハウスという名前の店ですが、実際はパブ。昔からロンドンではパブやタヴァーンといった居酒屋で飲食をする習慣があり、ロゼの店に代表される17世紀のコーヒーブーム時代には、多くがコーヒーハウスへと鞍替えしたようです。そのブームが去り次に紅茶ブームが訪れると、コーヒーハウスはパブに逆戻り。「OLD COFFEE HOUSE」がパブであるという背景には、こんな歴史があるようです。



お昼時をすぎた店は閑散としていて、係りの人はカウンターの後ろに男性が一人いるだけ。カウンターに常連らしき数名が、大声で話しながらビールを飲んでいます。店に入り声をかけると「食事をするのか?」と聞かれたので「はい」と答えると、「じゃあテーブル席の好きなところに座って」と促されます。



がらんと開いたテーブル席。カウンターを正面に見る場所に座ると、1枚の簡単なランチメニューが指してあります。HPソースは、トロントのカジュアルなレストランに行くとどこにでも置いてありますが、元はイギリスだったのですね。食事を決めて待っていると注文を取りに来る様子もないので、カウンターまで行って注文を伝えます。せっかくなので、ビールを飲んでみたいと思い、「カスクでおすすめをください」と伝えると「わかった」と。

本格エールを飲む


カスクというのはイギリス独特のエール・ビールのことを指します。



このビールは、樽(カスク)の中でゆっくり発酵させる古式ゆかしい製法で提供されることから、別名リアル・エールとも言われています。ビールの種類をざっくりとドイツのラガーとイギリスのエールに分けてしまうと、カスクは本場イギリスで飲むエールの中でも本格派のエール・ビールということになります。



出てきたビールは「BRODIE'S LONDON FIELDS PALE ALE」。耳を澄ませると「ピチピチ」と泡がはじける音がします。泡がはじけるビールを飲むのは初めて。



滑らかな泡立ち、キンキンに冷えたのが本物のビールと昔から刷り込まれてきていますが、このカスクは別物。そこまで冷えていなく、まさに今も発酵していることが目と耳でわかる。口にするとラガー特有の炭酸の強さはなく、やわらかい口当たりで、フルーティーな香りがします。

料理はステーキパイ


これはグイッと飲むんじゃなくて、ゆっくり飲むビールなんだな、ということがわかったのは、料理が来たあとのこと。ビールに合わせたのは、ステーキパイ。パイ皿に入っていたのは、玉ねぎがデミグラスソースで柔らかく煮込んだステーキ肉。



これをつまみながら、ゆっくりビールを飲む。ちょうど大英図書館でマグナカルタの図録を買った後だったので、ゆっくり読みながらビールを飲み、ポテトフライをソースにつけて食べる。そんな風に飲んでも最後まで美味しく飲めるビールでした。



正直言って、ぜんぜん期待をしていなかったぶん、美味しかったです。忙しいお昼どきをはずしたことと、お腹が空いていたこともあって、イギリスのパブめしはとても良い思い出になりました。

実はこのカスクは樽の中で熟成するため、ビール醸造所に近いところでしか飲めないという弱点があります。従って、ロンドンで飲んだ同じカスクを海外で飲むことはできません。リアル・エールの製法を守って醸造しているところを探さなければなりません。というわけで、次回はトロントでカスクを飲んでみます。