トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2014年5月4日日曜日

カナダ建国150周年とプリンスエドワード島の関係性(4)


再び、プリンスエドワード島(PEI)の話題に戻ります。
「赤毛のアン」の島として有名なPEIですが、実は2014年の今年は、年間を通しての大規模な祝賀プログラムが行われている真っ最中。プリンスエドワード島州観光局の英語サイトのトップページを訪れると、今年はPEIとカナダにとって「大きなお祝いの期間が始まる年なのだ」という気分が伝わってきます。
http://www.tourismpei.com/2014

Prince Edward Island and all of Canada will celebrate an important chapter in our history in 2014, when we mark the 150th anniversary of the 1864 Charlottetown Conference - where the idea of Canada, as a nation, was proposed. The Island will host a spectacular year-long tribute to the beginning of this great country and welcome visitors to join the festivities. Part of downtown Charlottetown will be turned into a "celebration zone" where visitors can follow the steps of the Fathers of Confederation, and experience daily concerts, food tastings, children's activities, and historical presentations. Each province and territory in Canada will have the opportunity to showcase their local food, culture and history, making this a truly Canadian celebration.

「2014年は、カナダが一つの国家となるための基本理念を初めて提案した1864年の「シャーロットタウン会議」から今年で150年という記念の年。この歴史的な会議の舞台となった我がプリンスエドワード島は、カナダに住む国民と共にカナダの歴史における大切な区切りの年として今年を記念し、今年一年を通して、島をあげて祖国の始まりの歴史に敬意を表し、ここを訪れるすべての旅行者をも祝賀に招待すべく、数々のイベントを行う計画を立てています。
シャーロットタウンの一部を「祝賀エリア(Celebration Zone)」とし、「会議の父たち」と呼ばれる偉大な先人達の足跡を学ぶだけでなく、コンサートや地元料理の試食、家族連れも楽しめるアクティビティーや歴史展示などを行います。ここにはカナダ全土の州及び準州の代表も招待し、各地の自慢料理、固有の文化や歴史を体験するコーナーを設けて、PEIだけでなくカナダ全体が一つになってこの年を祝うことができるように計画を進めています。」
祝賀エリアの詳細(英文):http://www.tourismpei.com/celebration-zone



PEIが「カナダ全体が一つになって」というこだわりを持って今年を迎えているのには理由があります。カナダは今、3年後の建国150周年に向けて、政府主導の「カナダ150(Canada 150)」というプログラムが始まっていて、1967年に行われた「Canadian Centennial(カナダ建国100周年)」に次ぐ大きな節目の年として、着々と計画が進んでいるのです。
http://www.canada150.gc.ca/eng/1342792785740/1342793251811

カナダの歴史を顧みる上で重要な年として位置づけられる今年。かつてカナダ建国の始まりを告げた「シャーロットタウン会議」が今、カナダ建国150周年祝賀のスタートを告げる行事となっているというわけです。

「PEI 2014 Canada Day Celebrations!」
特にPEIで行われる今年のカナダ・デーは特別プログラムが計画され、「PEI史上未だかつてないカナダ・デー(The PEI 2014 Canada Day celebrations will be one of the most spectacular events Prince Edward Island has ever seen!)」と宣伝されています。
PEIのカナダ・デーの詳細(英文):http://www.pei2014.ca/canadaday/

「Founders Week」
数々計画されているPEIの特別イベント。私が一番魅力的だと感じたのは、「シャーロットタウン会議」が行われた9月第一週にかかるもの。150年前に会議が行われた9月1日〜9日に合わせて、今年の8月28日〜9月7日に「Founders Week」と名付けた特別週間が設定されています。
下記のムービーが良く雰囲気を表していて、本当にカナダはこうやって始まったんだなと思わせられます。


「赤毛のアン」の原書「Anne of Green Gables」が出版されたのが1908年(明治41年)。「シャーロットタウン会議」からわずか40年ほどしか経っていなかったという事実は、原作者のモンゴメリ氏が生きていた時代にこの会議のことを知っていた人が周りに生きていたかもしれないと思わされます。今回「赤毛のアン」が翻訳された時代と人のことを尋ね歩いているわけですが、「シャーロットタウン会議」のことを知り、原書がこういう時代の気分の中で書かれたということを知る事ができたのは、私にとっては新たな発見でした。

ハイライトは8月30日(土)に行われる、カナダが生んだカントリー歌手のトップスターシャナイア・トゥエイン(Shania Twain)が出演する記念コンサート。オンタリオ州ウィンザーの生まれで、全世界で80万枚のアルバム・セールスを記録する「カントリーの女王」が、PEIとカナダの歴史的週間に華を添えます。
ファウンダーズ・ウィークの詳細(英文):http://www.pei2014.ca/foundersweek/

「PEI 2014 Finale」
年間を通して行われる祝賀のフィナーレを飾る「PEI 2014 Finale」。詳細は発表にはなっていないようですが、華々しいニューイヤーズ・イブが計画されています。
PEI2014フィナーレの詳細(英文):http://www.pei2014.ca/finale/

実は今年の3月、PEIを再び訪れたいと考えていました。様々な理由でそれは叶わなかったのですが、私にとって結果的には良かったかもしれません。もともと「自分が今住んでいるカナダが、どうやって始まったのか?」という疑問について何かを肌で感じることができるような旅をしたくて、そのためには旅に出る前に学んでおかなければならないことがたくさんあると気づいたからです。

「シャーロットタウン会議」にはじまるカナダ建国150周年の物語。スケールの大きなカナダですから、この物語を理解するとなると、正直言って歴史が苦手な私にとっては「大変なことになった」というのが実感です。まず「自分はカナダのことをどれだけ知っているのだろうか?」というところから掘り起こして行くうちに、すべてはあやふやな知識と理解であることに呆然とするわけです。この状態でPEIへ行っても、前回とあまり変わらないので意味がありません。

ここ数年、自分が住んでいるトロントの歴史について、街を歩きながら少しずつ調べています。17年も住んでいるトロントのことですらごく一部しか知らない私が、カナダのことを知ろうというわけですから、これは大変です。
ちなみに、これまでカナダのどれだけの場所を訪れた事があるんだろうかと思い出して地図にしてみました。



始まりは今から17年ほど前のこと。(1)トロントからVIA鉄道を使って家族で(2)オタワへ。さらにVIA鉄道で(3)モントリオールまで行き、そこから観光バスで(4)ケベックシティーに向いました。モントリオールの日帰り観光バスの運転手さんが英語とフランス語を上手に使い分けてガイドをしながら走る姿に感動したこと、ケベックシティーがとても可愛らしい街で、印象に残ったことを思い出します。

次に訪れたのは(12)カルガリー。この時は仕事で観光はまったくできませんでしたが、スタンピードの時期で街が沸き返っていた事を思い出します。


2003年に仕事で訪れたニューファンドランドの(8)セントジョンズ。滞在1日というとんぼ返りでしたが、ミーティングの後日没までの短い時間を利用して向ったスピア岬から生まれてはじめて大西洋を見て、その雄大さを説明する言葉が見つからないほどでした。


写真は2006年に訪れた夏のケベックシティ旧市街。この時期の旧市街は底抜けに楽しく、すっかりこの街が好きになってしまいました。実はこの写真は、友人家族に誘われて、クルマで東部カナダを10日間で周遊した途中に立ち寄った時のもの。




モントリオールを抜けてケベックシティに1泊。ニューブランズウィック州に入り、「覆われた橋としては世界最長」をうたうハートランド橋(写真上)を通って(5)モンクトン(写真中)に1泊。コンフェデレーション橋を渡り(6)PEIで3泊。


その後(7)ガスペ、ペルセ(写真上)と泊まりながら再びケベックシティに戻りトロントに帰るという走行距離3500キロは、「とにかくカナダは広い」と実感するのに充分でした。

2度目のモントリオールは、ちょうど3.11の直後。大聖堂でロウソクの灯りに黙祷を捧げました。


思い立って妻を連れて(13)エドモントン経由で(14)イエローナイフに向ったのは、つい2年前。マイナス30度になろうかという気温、美しいオーロラ、犬ぞりの思い出は今でも心に焼き付いています。その思い出は、偶然の巡り合わせが重なり、旅行ガイドブック「地球の歩き方」に写真と文章という形で残されました。


カナダとアメリカの国境の街ウインザーを訪れたのは、カナダのフィギュアスケート国際大会の撮影のため。スケジュールがびっしりで帰る時にひと目ウインザーらしい風景を見たくて国境を訪れたら、15年前にひとりビザの申請を頼み込むためにバスで渡った国境の橋が目の前に現れてビックリしてしまいました。その途中のロンドンも思いで深い街で、その後何度も訪れました。


その後、カナダ観光局企画のブロガー・ツアーに招待して頂いて、世界各地のプロのブロガーと共にカナダを旅する機会に恵まれました。トロントからエアカナダで(9)バンクーバーに向かい、そこからトロントまでVIA鉄道で走り、途中(10)ジャスパー、(11)ウイニペグに宿泊するという日程に、度肝を抜かれました。このとき初めてVIA鉄道の車窓からロッキー山脈の姿は、いまでもはっきりと思い出せます。カナダを西から東へ縦断する10日間にも渡る鉄道の旅は、まさに「一生に一度」の経験でした。
旅のまとめはこちらからどうぞ:http://www.makotophotography.ca/train/main.html


さらにカナダ観光局が主催するFAMツアーにバンクーバーから参加し、日本のメディアの皆さんにくっついて初めて(15)ホワイトホースを経由して「極北」の入り口(16)ドーソン・シティーに向いました。ユーコンで見たオーロラと紅葉は想像つかないほどの美しさで、「百聞は一見に如かず」とはこのことと思ったものです。


ドーソンシティーで見たオーロラはまさに「宇宙」。「ここをまっすぐ行くと北極圏に入れます」と説明を受けた「デンプスター・ハイウエイ」を見た時に、「観光地というより地球」を旅している気分になったのが不思議な体験でした。


これらは「旅行者としての素直な旅の実感」です。振り返れば17年間トロントで暮らしながら、カナダがどれだけ広く美しい国なのかということをこの目で見る機会があったということは幸運でした。一方で、これで終わってしまっていいのか、と感じることも事実です。
ここ数年このブログを振り返ってみると、スタイルが随分変わったと感じるのは、対象となる興味が変化して私自身のものの見方が変わったからです。「自分が今見ているものは、一体なんなのか?」という素朴な疑問を見た目の印象で書くのではなく、背景にある人であったり歴史への強い興味へと結びつけられています。
実はこういった歴史について感心を持つ人はごくわずか。このブログの一番上の写真はPEIの歴史を伝える博物館なのですが、CBCによるとあまりにも訪れる人が少ないため、今年を最後に閉館してしまうのだそうです。時代の流れとしては仕方のないことなのでしょう。
一方で、トロントでは「ヘリテージ」と言って、自分たちの歴史を大切にし、残すために努力している人々がいることも事実。人気がないからといって、歴史とそこに生きた人々をないがしろにすることは、あってはならないことですし、何でも好奇心を持てばたとえそれが苦手なものであったとしても興味や関心を持つ事ができるのも事実です。

カナダが建国100周年を祝った1967年は、私が7歳の時のこと。まさか54歳になった私が、150周年を間近に控えた2014年にカナダに住んでいるとは、あの時には思いもよらないことでした。次のカナダ建国200周年に生きていることはないだけに、カナダに住む者としてこれからの3年間がどれほど大切な期間なのかということを痛感します。


3年後に訪れる150周年の記念の年は、私がカナダに来てからまる20年を締めくくる年。私にとっても人生でただ一度きりの、記念の出来事となりそうです。そんなこれから3年間のスタートを切る今年のカナダ・デーは、トロント〜羽田に新たに就航するドリームライナー(ボーイング787)の初便に乗ることが決まっていて、機上でカナダ・デーを祝うという経験は初めてですが、何かの巡り合わせかもしれません。

カナダ建国記念日に、新しい機体の羽田への初飛行を行うというのは、エアカナダも粋なことをするものだとひとり感心しているわけです。