トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2014年4月21日月曜日

「赤毛のアン」とプリンス・エドワード島を知ろう(1)


先日、東京のカナダ大使館で行われた『赤毛のアンの舞台としても知られる「世界で一番美しい島」プリンス・エドワード島を知ろうブロガーミーティング』に出席する機会がありましたので、今回から数回に渡ってこのイベントに関わることがらについて書いてみたいと思います。ちなみに上の写真は8年前に訪れたPEIで撮ったものです。


このイベントは、表題の通り「赤毛のアン」が舞台となっているプリンス・エドワード島(Prince Edward Island/以下PEI=ピー・イー・アイ)の魅力について、多くの人に知ってもらおうということで、同州観光局の高橋さんが中心になり、カナダ観光局の全面的な支援も得て行われたものです。前回のオーロラに引き続き、アジャイルメディア・ネットワークの「Fans:Fans」で行われるカナダに関する(今回はPEI州観光局主催)イベントは2度目。今回も偶然に一時帰国の時期と重なったこともあり、40名の応募者の中に加えていただきました。 http://agilemedia.jp/news/event/20140417_pei.html

まずはPEIとはカナダのどこにあるのかという基本情報から。

日本からだとエアカナダの直行便でトロント・ピアソン国際空港を経由し、さらに約2時間半をかけてシャーロットタウンに飛行機で向います。この7月からエアカナダのトロント直行便は羽田からも出ますので、トロントへのアクセスの便利さを増します。


当日出席しておられた全日空販売計画室の奥野真美さんから、羽田からの国際線が増便される関係で北米及びカナダへのアクセスがかなり良くなるという説明を受けました。全日空を使った場合は、成田からニューヨーク(JFK)へ向かい、ニューアークに移動後にユナイテッド航空でモンクトンに入り、そこからクルマでPEIに入るという形になります。


クルマでアクセスする場合に通るのが、写真上のコンフェデレーション・ブリッジ。ビックリするくらい長い橋で、たもとにはビジターセンターなどもあり一息つくことができます。


この全日空ルートは、一見すると乗り換えが多い上にクルマを使わなければならないので敬遠されるかもしれませんが、実は飛行機の最終目的地であるモンクトンは写真上のような奇岩がある場所として有名。大西洋に面した入り江の街は潮の満ち引きが激しく、浸食された岩の間を干潮時には散策することができます。もちろん満潮時はこの岩の下半分は海の中に沈んでしまうのですが、そこをカヤックで行くツアー等もあり、カナダの大自然を満喫できる知る人ぞ知る観光スポットです。奥野さんのお話を聞きながら、いっそのことニューヨークで少し遊んだ後にモンクトンで1泊して、ゆっくりクルマでPEIを回るというのも楽しいと思ったわけです。

もちろん時簡に限りがある場合には、全日空ともコードシェアしているエアカナダの直行便を使ってトロントに入り、そこからまっすぐPEIへ飛ぶのが効率的。羽田便ならさらに日本国内との接続も良くなりますから、感覚としてはカナダがさらに近くなるでしょう。
飛行機でのアクセスについては、下記ウエブサイトも参照して下さい。
http://www.tourismpei.com/jp/fly-to-pei

実はこのアイディアの一部は、今から8年ほど前に家族でトロントからクルマを使ってPEIを周る旅をした時のルートの再現。この時の走行距離は約3,500キロほどで、トロント〜モントリオール〜ケベックシティー〜モンクトン〜PEI〜ペルセ〜ガスペ〜ケベックシティー〜モントリオール〜トロントという道のりでした。全日程は10日ほどかかり、時間の余裕があり運転が苦にならなければ、このルートは東部カナダを味わい尽くす楽しい旅になります。


特にペルセやガスペは奇麗です。写真はペルセ岩を歩いて渡る所ですが、こちらも潮の満ち引きを利用して、日中のうち短時間をこうした形で向こう側に渡ることができるのです。クジラウォッチングができるツアーもあったりします。


さらに鉄道とクルマを組み合わせてPEIに入るパターンもあります。その場合モントリオールからVIA鉄道のオーシャン号に乗り、1泊2日の旅。モンクトンあるいはハリファックスで下車してPEIにクルマでアクセスすることになります。写真はモンクトンの駅に入って来たVIA鉄道です。昨年春に、バンクーバーからトロントまで約10日かけてジャスパー、ウイニペグに下車しながら鉄道の旅をしましたが、VIAの旅は風情があってなかなか良いものです。時間に余裕があれば、ぜひオススメのルートです。

詳細はVIA鉄道のウエブサイトも参照してください。
http://wcs.ne.jp/via/ocean/ocean-map.htm

PEIの旅の基本情報については州観光局日本語公式サイトをご覧下さい。
http://www.tourismpei.com/jp


話を戻します。PEIと言えば「赤毛のアン」と言われるわけですが、その理由はこの小説がPEIを舞台にしていることから来ています。小説の原題は「Anne of Green Gables」と言い、原作者はPEI生まれのL.M.モンゴメリという方。出版されるやいなや世界各国に翻訳をされましたが、日本では村岡花子さんが翻訳をしたことがきっかけで、熱狂的なファンを獲得しました。NHKで現在放映中の朝ドラ「花子とアン」は、お孫さんの村岡恵利さんが書いた「アンのゆりかご 村岡花子の生涯」が原作。甲府と東京が主な舞台になりますが、タイトルで毎朝流れる美しい風景はNHKの取材班が実際にPEIに行き撮影したもので、毎朝PEIの風景が全国に放映されているというわけです。トロントでも「TV JAPAN」という日本語チャンネルで放送されています。

カナダに直接関連するテーマが、毎朝これだけ大々的に日本で取り上げられるのは過去に前例がないということで、カナダ観光局及びPEI州観光局はカナダとPEIをより多くの人に知ってもらうためのキャンペーンを行い、さまざまなコンテストやプレゼント企画が行われています(2014年4月現在)。
http://anne.jp-keepexploring.canada.travel/campaign/

カナダ観光局でも特設サイトが公開中です。
赤毛のアンと世界一美しい島:http://anne.jp-keepexploring.canada.travel/

また、2014年3月〜2015年2月頃まで、下記の特別展覧会が開催中です。かなり希少価値のある展示が行われていますので、「赤毛のアン」に親しんでいる方にはとても興味深いものになっているようです。
日加修好85周年記念『モンゴメリと花子の赤毛のアン展』:
http://anne.jp-keepexploring.canada.travel/hanako/exhibition.php
(実は『モンゴメリと花子の赤毛のアン展』で使われている最後の写真(ケイトさん)は、私が撮らせていただいたものだったりします・・・)


さらに新潮社でも「赤毛のアン」に関連するキャンペーンを実施中です。この日説明に立った新潮社の橋本恭さんからは、間もなく発売される「アン・ボックス(実は赤毛のアンはシリーズになっていて、全部で12冊あるそうです)」のことや、「ワタシの一行」という特別キャンペーンについての説明もありました。PEIへの往復航空券が当たるようです。
http://www.shinchosha.co.jp/anne/


このようにして、今日本でカナダ向けの観光は「赤毛のアン」一色と言ってもいいくらいの勢いで、かなり熱気を帯びた説明が行われていました。出席者のうちPEIに行ったことがあるのはわずか3名。37名はまだ見ぬPEIを、このイベントを通して初体験でした。その出席者を前に、PEI州政府観光局日本代表の高橋由香さんはもちろんのこと、冒頭にマイクを取ったカナダ観光局日本地区代表のモリーン・ ライリーさん(写真上)はPEIで過ごした青春時代の思い出を語り、今回のキャンペーンや企画等をずいぶん前から準備し、実現のために奔走し今も走り続けているカナダ観光局の半藤さん(写真下)も同様にPEIの素晴らしさを語っておられたのが印象的でした。ついには、マイクを持って語る高橋さん、モリーンさん、半藤さん、そして全日空の奥野さんまで女性が全員「赤毛のアン」に見えてしまうような気がして、「赤毛のアン王国」の熱気にすっかり圧倒されてしまいました。


正直に言うと、こうした方々の「赤毛のアン」とPEIにまつわる個人的な体験を語る嬉々とした表情を眺めながら、私の場合「赤毛のアン」にまつわる体験が全くないことを少し残念に思ったわけです。言い訳をいうとするなら、まずは男である私は文学少女ではないわけで、また青春時代は男子校であったため、文学少女の影響を受けるチャンスも皆無。「赤毛のアン」に触れる機会は全くありませんでした。そんな私が「赤毛のアン」について熱く語れるわけはないのです。しかし今回の朝ドラの放送を見ていて心に残るシーンがあったことが、今から思えば私と「赤毛のアン」をつなぐきっかけになり、今回のミーティングの出席へと繋がったのかもしれません。

そのシーンとは、子供時代の村岡さんが東洋英和女学校(現在の東洋英和女学院の前身。ドラマでは修和女学校)の寄宿舎生活がつらくて逃げ出そうとしていた時に、スコット先生の美しい歌声に救われるという場面(第2週の9話)。歌われていたのは「The Water Is Wide」というスコットランド民謡。村岡さんが東洋英和女学校を卒業したのは1914年で、当時のカナダはイギリス移民が多くを占めていましたから、海を渡ってやって来た婦人宣教師やカナダ人の先生がこうした歌を歌っていたというのは理にかなっています。
なにより、「厳しい宣教師の先生と優しい英語の先生」というステレオタイプな人物が登場するドラマの描き方は私にとても分かりやすい構図で、物語に感情移入していく上でとてもうまくいっていると感じているのは私だけではないでしょう。

このシーンを見たことから、彼女が寄宿舎という極めて閉じた環境の中で婦人たちからカナダとの深い結びつきを得たというリアリティーが急に浮かんできました。その後、新潮社から出版されている「花子とアンへの道」を手に取り、村岡花子さんと婦人宣教師たちの関わりの中で「赤毛のアン」の翻訳が誕生したという経緯を知るに至ったというわけです。


歴史の流れが理解できると、さらに細かなことを知りたいと思ってしまう癖があり、実際この目でも見てみたいと思っていたところ、卒業生の妻の勧めもありドラマの舞台となった東洋英和女学院を訪れるという機会も与えられました。学院の史料室で約3時間ほど、予定していた時間をはるかに越え詳細なお話をお伺いすることになります。その内容については今回のイベントとも深いつながりがあることですので、次回に書いてみたいと思います。