トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2013年7月6日土曜日

ホンダインディー・トロント観戦ガイド(2)


前回に続き、いよいよあと6日(今週金曜日=7月12日)に迫った「ホンダインディー・トロント」の観戦ガイド(その2)として、今回はレース観戦を焦点にあててみたいと思います。

(A)まずはコースの特徴と観戦ポイントを理解する
トロントはストリートを使用したコースで、コーナーは全部で11カ所。総延長距離は1.75マイル(2.8キロ)で、コースは2重のフェンスとコンクリート・ブロックで観客エリアから隔離されており、周辺はセキュリティー・スタッフによって常時監視されています。
入場者が観戦できる場所は、スタート/ゴール地点に設けられた2カ所のスタンドと、ホンダ・ブリッジの前後にある2カ所のスタンド、最も角度がきつくレースカー同士が抜き去るつばぜり合いがよく見られるターン3と呼ばれるコーナーの5カ所。

スタンドはコースを見下ろすようになっていて見晴らしが良く、特にスタート/ゴール地点、ピットレーン正面に設けられたスタンドは直線を高速で走るレースカーや、ピットに入る様子等も見ることができる特等席です。なおスタンドには屋根がありませんので、長時間の観戦の場合常に直射日光にさらされることになりますから、日焼け止めや帽子、水分の補給などには充分に気をつけてください。
なお、右の写真上手前に写っているのがピットレーンのスタンド、コースを隔てて向こう側に写っているのがスタート/ゴールのスタンドです。

ホンダブリッジの前後にあるスタンドはこぢんまりとしていますが、ゴール直前のレースカーの様子が見ることができます。またそれぞれのスタンドの正面には大型の液晶パネルが置かれレースが実況中継されていて、全体のレース展開も確認できるようになっています。

スタンド観戦のためにはチケット購入が必要です:http://www.hondaindytoronto.com/tickets

ちなみに我々カメラマンは記者証の他に特別な撮影許可証を着用。観客が入ることができない2重のコンクリートブロックの間に入り、フェンスが切り取られた視界の良いフォトホール(撮影用の穴)に向います。
場所によってはレースカーがほんの数十センチ前を高速で走り抜けるポイントもあり、厳密なルールのもと安全に注意をしながらの撮影になります。一般の観客はフェンスに遮られてクリアな視界が得られないのですが、私が撮影しているものにフェンスが映り込まないのは、こうした理由によります。

下記は、アニメーションで制作された「バーチャルラップ(実際のレースカーがコースを一周する様子)」です。


(B)レースには予選と決勝がある
レースは「予選」と「決勝」に分かれて行われます。今年は金曜日午前に練習走行があり、午後は予選#1、土曜日の午前中に予選#2があり、午後には決勝レース#1、そして日曜日には決勝レース#2が組まれています。
クオリファイと呼ばれる予選は、コースを1周するタイムを競い、最も速いドライバーがポール・ポジションと呼ばれる先頭を走ります。
スタートラインに並ぶ順番を決める方法は、トロントの場合3回の予選によって選びます。まずは全ドライバーを2グループに分けて行う第1セグメント、続いてこれら2グループの各6位までの計12台で争う第2セグメント、最後に上位6位が争う第3セグメントの3回が行われ、早いタイム(ラップタイム)を記録した順に決勝レースの出走順を決めます。
決勝レースは、昨年まではペース・カーと呼ばれる車両の後に全車両が走行し、ペース・カーがコースを抜けた時にレースが始まる「ローリング・スタート」でしたが、今年は初めて「スタンディングスタート」を採用。全車両が2列に並び停車した状態からエンジンをかけ、正面に設置された5つのレッドライトが順番に点灯し、全部のライト点灯した直後にライトが消えた時に一斉にスタートするものです。

予選/決勝ともに、ウエブサイトではリアルタイムに順位が表示されます。順位の確認はこのページを見ると一目瞭然。どんな展開でレースが進んでいるのかがわかって便利です。
http://racecontrol.indycar.com/

(C)ルールも軽く理解しておく
インディー・カーレースには分厚い「ルールブック」があり、細かい部分までに及ぶ規定があります。ここでは特にレース中に振られる「旗」についてまとめてみます。
この写真は、コースマーシャルと呼ばれる係員が旗を振る場所を撮ったものです。左上にフェンスが切り取られているのが見えますが、ここから旗を出してレーサーに知らせるという仕組みになっています。旗の色にはそれぞれ意味がありますが、全部で8つある旗のうち主な6つは以下の通り。これらの旗の意味を覚えておくと、特にレースが中断した時などの状況を理解するのに役立ちます。

レースは全部で85周で、時間にすると2時間ほど。コース上ではレーサー同士の激しい駆け引きが行われます。この間、接触事故、トラブルによる停車、壁への接触等が起き、レースは安全確認のためたびたび中断します。走行中のレーサーは、特に視界の悪いコーナーの手前などでは前方のコースの状態を知るために「コース・マーシャル」という係員の振る旗の色を見て判断をします。
旗の色 意味
チェッカー 練習走行、予選・決勝の終了を知らせる
グリーン 練習走行、予選・決勝でスタート(再スタート)を知らせる
yajirusiブラック 規則違反やマシンの故障などの理由で次の周回でピットインを命ずる
yajirusiイエロー コース上に危険が発生したことを知らせる。予選ではタイムアタックの中断を知らせる
yajirusiレッド レース中断を知らせる。全車両は安全な場所に即座に車を停止
yajirusiホワイト トップを走行しているドライバーが最終周回に入ったことを知らせる
特に「イエローフラッグ」が振られた時は、レースが大きく動く注目ポイント。障害の規模が小さい場合は、旗が振られている区間のみが減速/追い越し禁止となる(「コーション」という状態)だけですみますが、コース全体で追い越し禁止/ペースカーが先頭に入る「フルコース・コーション」になると、チームの監督とスタッフがいるピットは短い時間でレースに勝つための駆け引きに忙しくなります。

フルコース・コーションはコース上にレースカーが立ち往生したり、事故が起きて車の破片がコース上に散乱した場合などレースに重大な支障が起きた状態。速やかにレーサーを救助をしたりコース上の障害物を取り除くために、コース上には事故処理のためのスタッフや特別な車両が入ります。
彼らの安全確保のためにスピードの遅いペースカーが先頭車両の前に入り、全レースカーはこの車両の後ろに縦一列に並んで走行。先頭から最後尾までが数珠つなぎになりタイムの差が大幅に縮みます。
レース中に車が止まるのは、ピットに入る時のみ。この時間(3〜4秒)のロスを少なくすために、全車追い越し禁止、ペースカーによるレースのスローダウン中にピット作業を終えることができれば、順位を大幅に上げることができます。従ってチームの監督はこの「フルコース・コーション」が出ると、レースカー残りの燃料、消耗が激しいタイヤの状態、順位など様々な情報を瞬時に判断してピットインをするかどうかを決定します。数秒でタイヤを交換し、給油を済ませた後に煙を上げてピットを飛び出すレースカーを見るのも、観戦の一つの醍醐味です。



(D)レース中にレーサーは何をしているか
レーサーは上から、ヘルメット、レーシング・スーツ、手袋にシューズという装備をして車に乗り込みます。
コックピットは、レーサー1人がようやく入れるほどのコンパクトサイズ。外から見ていると、ほとんどレーサーの体とピッタリサイズ。かなり窮屈そうに見えます。そこにぎゅーっと体をねじ込むようにして、入ります。

ヘルメットには会話ができる無線装置に加えて、口元のチューブから水分補給ができるようになっています。ヘルメットのバイザーには透明のシールが張ってあって、何かが付着したり視界が悪くなると「ピッ」とはがして新しいものに変えられるのだそうです。

コックピットで最も重要な働きをするのが、ステアリングと呼ばれるハンドル。様々なボタンや表示、レバーなどが集中していて、常にレースカーの様子をモニターし、レースカーを操る重要なコントロール・センターの役割を果たしています。
高速でコーナーを曲がるレーサーを保護するため、コックピットの頭の部分は首が大きく振られることを防ぐようにしっかりガードされています。

コックピットの後ろにはカバーに隠されたエンジンが置かれ、ピットには各チームごとに燃料タンクと高速で燃料補給ができるホースが置かれています。ちなみに使われている燃料はさとうきびやトウモロコシなど生物由来のエタノールが98%にガソリンを2%加えた混合燃料。ガソリンが混ぜられているのは誤飲防止と、無色透明のエタノールを着色することにより目で見て燃料がわかるようにするためで、特にピットを歩いていると独特のアルコール臭がします。

外から見ているとレーサーは高速でレースカーをコース上で周回させているだけのように見えます。しかし実際は時速200キロを越えるスピードでレースカーを走らせつつ目でコース上の様々な情報やステアリングに表示される情報を常に確認し、耳ではピットからの指示を受け時にはピット・クルーと会話をしながら、腕と足、体全体、また五感をフル回転させてレースカーを操る多角的な能力が必要とされる過酷なスポーツ。レーサーやサポートに回るピットクルーを守る様々な工夫がなされています。

(E)代表的なレーサーの名前と車の色を覚える
高速で周回を重ねるレースカー。最初はスタンドからただ見ているだけでもその迫力に満足するものですが、すぐにそれにも慣れてしまいます。次のステップでは、レースカーとレーサーの名前を知っておきたいもの。全部は無理としても、代表的なレーサーの名前から始めてみましょう。

 
  まずは日本人として唯一参戦している佐藤琢磨。彼はA.J.フォイト・レーシングに所属し、今季は第2戦で初優勝。ホンダ青山本社で盛大に凱旋帰国報告会が行われたのは最近のこと。ポイントランキングは現在8位で、青と赤のツートンカラーに「ABC」のロゴが目印です。
http://www.indycar.com/Series/Izod-IndyCar-Series/Takuma-Sato
   
 
  ホンダエンジンを搭載するTarget Chip Ganassi Racing。スコット・ディクソン(Scott Dixon)は今季総合7位ですが、たった今終わったポコノでのレースで優勝を果たしました。優勝をひっさげてのトロント登場。注目です。
http://www.indycar.com/Series/Izod-IndyCar-Series/Scott-Dixon
   
 
  今年は目立った活躍がないのが残念ですが、今季総合12位のダリオ・フランキッティー(Dario Franchitti)も要注目。昨年のインディー500で、最終周で佐藤琢磨を制して1位となったあのレース争いはいまだに語りぐさとなっています。トロントのコースでは2度の優勝経験があるだけに、要チェックです。
http://www.indycar.com/Series/Izod-IndyCar-Series/Dario-Franchitti
 
 
  ターゲットチームが見事1・2・3フィニッシュを飾ったポコノのレースで見事2位に入ったチャーリー・キンボール(Charlie Kimball)は、糖尿病を持ちながらレーサーとして活躍中。インシュリンの発見はカナダ人。ぜひ応援したいですね。
http://www.indycar.com/Series/Izod-IndyCar-Series/Charlie-Kimball
   
 
  次に注目は、カナダ人レーサーのジェームス・ヒンチクリフ(James Hinchcliffe)。彼はオンタリオ州トロント出身の、地元レーサー。現在総合ポイントランキング第4位で、優勝回数がすでに3回と今季絶好調。「GoDaddy」というスポンサーのロゴが入ったグリーンのマシンが目印です。
http://www.indycar.com/Series/Izod-IndyCar-Series/James-Hinchcliffe
   
 
  インディー・カーシリーズはポイントランキング制を採用。各レースごとの結果により、最高50ポイント(1位)からはじまり33位(10ポイント)が加算され、最終レース終了時点で年間優勝者を決めます。現在(7月8日現在)の1位は、ブラジル人レーサーのヘリオ・カストロネベス(Helio Castroneves)。「HITACHI」のロゴが入った赤と黒のツートンカラーが目印。
http://www.indycar.com/Series/Izod-IndyCar-Series/Helio-Castroneves
   
 
  トロントのレースでは昨年優勝を果たしたライアン・ハンター・レイ(Ryan Hanter-Reay)。昨年の総合優勝者で、今季は2位につけ、要注目の選手です。連続優勝を狙うマシンは黄色の「DHL」のロゴ。
http://www.indycar.com/Series/Izod-IndyCar-Series/Ryan-Hunter-Reay
   
  レーサー全員の情報については、下記のウエブサイトも参照して下さい。
http://www.indycar.com/Drivers

(F)レーサーに直接会うチャンスはある?
ミーハーですが、このレーサー達を実際にそばで見るチャンスは3カ所。

1つはパドックからコースへ出る通称「Gasoline Alley」と呼ばれる道路。パドックは、すべてのレーシング・カーが置かれている整備場で、予選が始まる前には順次レースカーが列をなしてコースへと向いますが、レーサーも同時に、スクーターに乗って出てきますので、「出待ち」的に待っていると会うことができます。

もう一カ所は、「Victory Circle」と呼ばれる特設ステージ。決勝レース直前に、一人ずつレーサーがステージに上がり紹介されます。ステージから降りてパドックへ向う時に、観客の間を抜けて行く選手を至近距離から見ることができます。

いくら最先端の技術を使ったレースであったとしても、それを動かしているのは生身の人間。レーサーやスタッフの方々の動きを間近に見ることで、さらに奥深いインディーカー・レースの魅力に触れることができると思います。

最後に、入場無料の初日「ホンダ・ファンフライデー」のコースで行われるスケジュールの確認です。ピンク色の部分がインディー・カーが走る時間で、それ以外の時間帯は別なレースが行われています。
午前中は10時25分〜11時55分までの1時間半が、インディー・カーの練習走行になります。この日2回目の走行は午後2時15分〜3時25分。翌日土曜日午前中に行われる予選#2の結果と合わせて、土曜日午後に行われる決勝レース#1の出走順位が決まります。
入場料がいらない金曜日の過ごし方ですが、例えば10時前に会場に入り、好きなスタンドに陣取って午前の練習から見るか、午後に会場に到着して予選を見るか、あるいはその両方を見るか・・・・迷うところですね。あわせて土日の予定も掲載しますが、詳細は日にちが近づいたら詳しくご紹介します。

7月12日(金)
開門 8:00 AM
開始 終了    



8:50 AM 9:30AM arrow練習走行 Fire Stone Indy Lights
9:45 AM 10:15AM arrow練習走行 Pirelli World Challenge
10:25 AM 11:55 AM arrow練習走行 IZOD IndyCar
12:10 AM 12:40 PM arrow練習走行 USF2000




12:45 PM 1:15 PM arrow練習走行 Pro Mazda
1:30 PM 2:00 PM arrow練習走行 Pirelli World Challenge
2:15 PM 3:25 PM arrow予選#1 IZOD Indy Car
3:40 PM 4:10 PM arrow予選#1 USF2000
4:15 PM 4:45 PM arrow予選 Pro Mazda
5:00 PM 5:40 PM arrow予選 Fire Stone Indy Lights
閉門 6:00 PM

7月13日(土)
開門 8:00 AM
開始 終了    



7:45 AM 8:30 AM arrow予選 Fire Stone Indy Lights
8:45 AM 9:25 AM arrowレース#1 Pro Mazda
9:40 AM 10:20 AM arrowレース#1 USF2000
10:35 AM 11:05 PM arrow予選#2 IZOD IndyCar
11:15 AM 12:30 PM arrowレース Firestone Indy Lights




12:45 PM 2:05 PM arrowレース#1 Pirelli World Challenge
2:15 PM 2:45 PM arrowデモ走行 Stadium Super Trucks
2:45 PM   arrowプレ・レース IndyCar
3:00 PM 6:00 PM arrowレース#1 IndyCar (Live on NBC Sports)
(Green flag ± 3:40 PM)
5:45 PM 6:30 PM arrowポスト・レース IndyCar
閉門 6:00 PM
7月14日(日)
開門 8:00 AM
開始 終了    



8:00 AM 8:45 AM arrow予選#2 Pirelli World Challenge
9:00 AM 9:45 AM arrow2シーターライド 2-Seater & Pace Car Rides
9:55 AM 10:35 AM arrowレース#2 Pro Mazda
10:50 AM 11:20 PM arrowウォームアップ IndyCar
11:35 AM 12:15 PM arrowレース#2 USF2000




12:30 PM 1:50 PM arrowレース#2 Pirelli World Challenge
2:05 PM 2:35 PM arrowデモ走行 Stadium Super Trucks
2:40 PM   arrowプレ・レース IndyCar
3:00 PM 6:00 PM arrowレース#2 IndyCar (Live on NBC Sports)
(Green flag ± 3:40 PM)
5:45 PM 6:30 PM arrowポスト・レース IndyCar
閉門 5:30 PM
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