トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2013年6月2日日曜日

VIA鉄道「カナディアン号」(4)寝台個室について

VIA RAIL / JASPER TO WINNIPEG
VIA RAIL SLEEPER CLASS / CABIN FOR TWO
カナダ横断VIA鉄道の旅のスタートとなるバンクーバー〜ジャスパーまでは「バース(Berth)」という上下寝台でしたが、ジャスパー〜ウイニペグ〜トロントは個室寝台が割り当てられていました。上のチケットはジャスパー〜ウイニペグ間で、VIA002番列車で、車両番号は214でシートはAとなっています。ジャスパーを5月25日午後5時半に出発し、ウイニペグに到着するのが翌日の5月26日の午後8時45分。


そしてこれが最後のチケットの、ウイニペグ〜トロント。5月28日出発で、トロント到着は30日。この区間が車両内では一番長い滞在になります。今回はカナダ観光局のブロガー・ツアーで、バンクーバー・ジャスパー・ウイニペグと盛りだくさんのスケジュールでしたから、結果的に最後の2日間で疲れを癒すことができたのが幸いでした。

チケットにも書いてありますが、割り当てられていたのは「Cabin for two」と言って2人用寝台個室。前回のバースと違って個室は随分違いますので、順番にご説明して行きます。

VIA RAIL / JASPER TO WINNIPEG
これはジャスパーの駅構内、といっても外なので、ロッキー山脈をバックにして列車に乗り込むことになります。名残惜しい瞬間です。


こちらはウイニペグの駅構内。ウイニペグはちょうどカナダのへそと呼ばれている地理的な東西の中間地点で、バンクーバーから来た乗務員とトロントから来た乗務員が交代してそれぞれ折り返すのと、食材等も積み込みますので停車時間が長く、そのまま降りずに次の目的地に向う人たちも一旦降りて市内観光などに向います。

さて、個室寝台ですが、
1)まず当たり前ですが、個室なのでドアで部屋を閉め切ることができる
2)部屋の中に専用トイレ、洗面台がある
3)コートハンガーがある
4)昼間は椅子が2脚、夜は上下の寝台になる

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前回のバースはカーテン間仕切りでしたが、今回はドアがついている個室。ジャスパーでは「A」、ウイニペグでは「B」個室を利用。壁にアルファベットのプレートが貼付けられています。

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廊下から見るとこんな感じになって、ドアを開けて個室に入ります。

VIA RAIL / SLEEPER PLUS
今回乗車したのはマノアー寝台車。車両内部はA〜Fまで2人用の個室が6部屋、1人用の個室(廊下とはカーテン間仕切り)が4部屋、2+2のバースがが3組という構成。写真一番上は2人用個室の昼間のセッティング。寝台のセッティングは次の写真のようになります。その下は1人用の個室。ちなみに1人用はカーテン間仕切りです。

一方8201番から8229番のシャトー車両は全部で29両。同時期に製造され、A〜Dまで2人用の寝室が4部屋、1人用の個室が8部屋、バースが3組です。車両の廊下は人が2人すれ違うことはなかなか難しいくらい大変狭いので、たまに乗客に出会うと少し余裕のある個室の角の所で待つことになります。

VIA TO TORONTO
「カナディアン号」で使われるのは、「STAINLESS STEEL EQUIPMENT(ステンレスカー)」と呼ばれる「MANOR SLEPING CAR(マノアー寝台車)」と「CHATEAU SLEEPING CAR(シャトー寝台車)」の2種類。ステンレス加工技術で名を馳せたアメリカの「Budd Company」が、1954年〜55年にかけて製造したもので、車両は全部で40両。1978年以来、8301番から8342番までがVIA鉄道で使用されています。
この他にイギリスの「Metropolitan-Cammell」で1995-96年に製造された「RENAISSANCE EQUIPMENT(ルネッサンス)」と呼ばれる車両がありますが、これは2000年より別ルートで使用されています。


これが列車のレイアウト。車両内はバース寝台と個室寝台が組み合わされている形になっています。

VIA RAIL / JASPER TO WINNIPEG
個室寝台の部屋に入るとこんな感じになります。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、写真右の黒くなっているところはコートハンガーです。

VIA RAIL / JASPER TO WINNIPEG
これがコートハンガー。幅は狭いですが、下の方に空きスペースがあるのでバッグなどを押し込んでおくことができます。

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座席はこんな感じで、重量があって簡単には動きませんが、据え付けではないので、変えようと思えばレイアウトを変更することはできます。

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2人用の寝台をセットしたところ。椅子は下のベッドの下に折り畳んで滑り込ませてあります。

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ベッドはバース寝台の時には窓際に据え付けられていた向きが変わり、足元に窓があり通路側が枕元になります。写真上は2人用寝台の2人分のベッドをセットした状態。下の写真は2人部屋を1人で使った場合のベッドの仕様です。2枚の写真を見て気づかれた方がおられるかと思いますが、上の写真は個室「B」、下の写真は個室「A」です。「A」と「B」は向かい合わせになっていて、間仕切りを取ると4人部屋になるという形です。ベッドの大きさはバースと感覚的には変わらないという印象でした。寝心地も一緒です。ただ進行方向に向かって縦になるバースと横になる寝台個室とは、少し寝心地が変わるかもしれません。


枕元には読書灯と眼鏡等を置いておけるトレイ、水のボトル等を入れておけるポケットがあります。

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2人用を一人で占領しているので、上のベッドを畳んでもらいました。広々としていてとても寝心地が良く、ぐっすりと眠ることができました。なお、隣の部屋とは片方が壁、片方が取り外し可能な間仕切りになっていますので、多少音は聞こえてきます。注意書きにも、携帯電話の使用や音楽プレーヤーの使用については充分配慮するようにという記述があります。昼間は展望車両や食堂車などにいることが多く、夜は寝るだけなので別段困ったことはありませんでしたが、昼間に部屋で音楽等聞きたい場合はヘッドホンを着用が良いでしょう。

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座席に座って正面を向くと、洗面台を中心にした壁側はこのようになっています。左のドアはお手洗い、中央が洗面台、右には室内灯などのスイッチ、そしてパンフレットなどが入れられるマガジンポケットがあります。また、壁の一番上には網がかかった収納スペースと、タオル&アメニティーのバッグがあります。

VIA RAIL / JASPER TO WINNIPEG
洗面台は三面鏡にライトとシンクがあり、普段はシンクに木製の蓋がついていてカップ等が置けるようになっていますが、使うときはその蓋をひっくり返します。


パークカーで氷をもらって来て、部屋でアサバスカ氷河から持ってきた氷河水でカナディアン・クラブの水割りを作って飲んでみました。大変贅沢です。

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お湯と水の出る蛇口の他に、「Drinking Water(飲料水)」と書いてある蛇口があり、水はボタンを押すと出てきます。石けんやローションなどがついてきます。

VIA RAIL / JASPER TO WINNIPEG
部屋の電気やファンを回すスイッチですが、「シャトー」と「マノアー」は今から50年以上前に製造されたもの。ステンレス製の車体は、「レトロ」という言葉がピッタリ来ます。細部に渡って長い間大切にメンテナンスをしながら使い続けて来た年輪のようなものがじわじわと感じられます。最新式の列車も快適ですが、壁に取り付けられた照明などのスイッチをパチパチと動かしていると、VIA鉄道の「カナディアン号」での列車の旅は何だか別な時間の流れの中で生活しているようです。


お手洗いの種類は、一般的に飛行機で使用されているものと同じ種類。個室の中に組み込まれているので、大変狭いです。お手洗いにはドアはありますが、若干匂いがこもる気がします。洗面台の近くの壁に換気システムとファンを切り替えるスイッチがありますので、適宜使い分けると良いかと思います。

VIA RAIL / JASPER TO WINNIPEG パソコンなどの充電ですが、バース席にはなかった電源が備え付けのタップが2小口あって大変便利です。ちなみにWifiですが、コリドー号のように車内で使えるネットはありません。手持ちの(カナダの)携帯は、バンクーバーからジャスパーまではロッキー山脈越えの時だけ使えませんでしたが、ほぼ断続的につながっていました。ウインザーから先についてはあらかじめ言われていたのですが、出発して30分くらい経った所でアウト。その後丸一日電波がなく携帯も使えませんでした。ようやくつながったのが出発して翌日の夜中、サドベリーを超えたあたり。あらかじめ覚悟しておいたほうが良さそうです。

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部屋のパンフレットがささっている場所には、ホテルと同じドアノブにかけるタグが用意されています。ジャスパーを出て翌朝の朝食に出る時に「お部屋を掃除して下さい」という側にしてドアにかけておいたら、1時間ほどして帰って来た時にはベッドは片付けられていました。ウイニペグからトロント間は反対側の「DO NOT DISTURB」にしてかけておきましたので、ベッドをソファーがわりにゆっくり横になって過ごしました。係員は常に巡回しているので、この辺はテキパキとやってくれるようです。

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上の写真は一人用の個室。といっても、二人用と違って廊下とはカーテンで仕切られているので、足置きになっているトイレを使うのはかなり勇気がいると想像できます。

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VIA RAIL / JASPER TO WINNIPEG
ジャスパーからウイニペグ、ウイニペグからトロント間はそれぞれ20時間以上の長旅。列車内で過ごす時間も長く、ドアを閉めればホテルのようなプライベート空間を確保できる個室はありがたかったです。特に日中部屋にいる間は、雄大なカナダの草原風景を車窓から眺めながらのんびり部屋着で本を読み音楽を聴いたり、パソコンで溜まった仕事ができました。
私の場合は、原稿を書くということがあったので時間があっという間に過ぎてしまいましたが、何もないと辛いでしょう。特にウイニペグ〜トロント間は車窓から見える風景はほぼ2日間同じで、単調です。昼間に展望車両に行くと、最近流行「Kindle」という電子ブックを片手に読書をしている人を良く見かけました。

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一点だけジャスパーまでと違ったのは、列車のスピード。今から思うと、バンクーバーからジャスパーまでの山越えルートは、重量級の列車を引っ張るために速度も控えめだったのでしょうか。撮った写真を見返しているとジャスパーまでは機関車が3両編成で、サスカチュワンに停車中に見たのは2両編成。全体で20両を超える列車を引っ張りながらロッキー山脈を超えるのには、やはり相当な力が必要なのでしょう。一方ジャスパーからウイニペグ、ウイニペグからトロントまでほぼ平地。草原の中をひたすら走る列車のスピードは当然ジャスパーまでの時よりも速く、その分横揺れが結構ありました。前述しましたが、列車に対するベッドの向きも影響したのかもしれませんね。