トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2013年6月26日水曜日

トロントにデビッド・サンボーン&ボブ・ジェームスが登場!

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ミリオンセラーを記録した2人のコラボアルバム「Double Vision」。グラミー賞にも輝いたあのアルバムが発表されてから27年ぶりに、再び制作された「The Quartette Humaine」。現在このアルバム・ツアー中で、ボブ・ジェームス(key)、デビッド・サンボーン(sax)、スティーブ・ガッド(ds)、ジェームス・ジーナス(b)のクアルテットは日本では9月3日(火)〜5日(木)の日程で、「Blue Note Tokyo」でも公演が予定されていますが(ウエブサイト)、一足早くトロント・ジャズフェスティバルに登場。とにかくメンツの豪華さから前評判が高く、昨晩は早くから会場前には長蛇の列ができていました。私はメディアパスを申請した時にこのコンサートの撮影許可を取っていたので、前回同様ステージ周りでの撮影のあとは(最初の2曲だけ)、カメラのハードケースを椅子代わりにしてテントのはじっこで演奏を聴いていました。

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トロント市庁舎前のメインステージに登場した、デビッド・サンボーン。私個人としては懐かしすぎて、びっくりしました。「泣きのサックス」という代名詞で一世を風靡した彼を私が初めて聴いたのは、1978年「Heart to Heart」から。その後「Hideaway」(1980年)、「Voyeor」(1981年)とアルバムを出し、「All I Need is You」でグラミー賞「Best R&B Instrumental Performance」、1984年「Straight to the Heart」でも再びグラミー賞「Best Jazz Fusion Performance」を受賞。この時期がミュージシャンとしての最盛期ですね。
私にとってのベストアルバムは「Straight to the Heart」、なかでもアルバムタイトルになった「Straight to the Heart」は名演。サイドを固めるミュージシャンに、マーカス・ミラー(b)、ハイラム・ブロック(g)、ドン・グロルニック(key)、マイケル・ブレッカー(ts)、ランディー・ブレッカー(tp)、バディー・ウイリアムス(dr)といった当時のジャズシーンを引っ張っていた実力派を揃えて、今聴いてもまったく色あせることがないサウンドは、やはり彼の代表作と言っていいでしょうね。ここ最近も2年おきにリーダーアルバムを出しているようですが、好きなのは1980年代のアルバム。もし聴くのであれば、「Straight to the Heart」から入るのが良いと思います。

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昨晩ピアニストとしてステージに上がったボブ・ジェームスとは1986年に発表した「Double Vision」で初コラボ。この作品でもグラミー賞を受賞していて、この時もマーカス・ミラー(b)、スティーブ・ガッド(dr)が加わっています。私の印象では、彼はジャズ・ミュージシャンというよりもクラシックやポップスなど幅広い曲をアレンジして、アダルト・コンテンポラリー的な聴きやすい音楽をつくりだしているミュージシャンと記憶しています。最近ではオリジナル・アルバムの制作とともにリー・リトナー、ネイザン・イースト、ハービー・メイソンと始めた「Fourplay」というバンドをでも演奏していますが、彼の音楽の系統は受け継がれているようです。

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スティーブ・ガッドはもともとはスタジオミュージシャンとして活躍していたのですが、1976年に「Stuff」というバンドで一躍一般にも名が知られるようになりました。このバンドはリチャード・ティー(key)、エリック・ゲイル(b)、コーネル・デュプリー(g)というスタジオミュージシャンが集まってできたバンドですが、当時日本でも大はやりしました。その後彼はチック・コリアの「Friends」(1978年)、「Three Quartets」(1981年)に参加。当時私はビッグバンドをやっていた仲間と「Three Quartets」の「タテノリ」のリズムは何だ! と物議をかもしたものです。昨晩は彼のドラムセットに興味津々。スタジオミュージシャンらしく、派手なセッティングではなくてちょっと肩すかしを食らった思いがしましたが、演奏の方もがっちり3人をサポート。レコードだけでしか聴いたことがなかったスティーブ・ガッドのまさに名人技を堪能することができました。

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デビッド・サンボーンが67歳、ボブ・ジェームスが73歳、スティーブ・ガッドは68歳! まあ私がリアルタイムに聴いていた学生時代が今から35年前のことですから、当然と言えば当然ですが、彼らがいまだに現役というのも驚きですし、ジャズシーンをいまだに牽引しているというのにも、ある意味驚きを隠せません。

ジャズフェスティバルのメインステージに集まった人たちを見ると、圧倒的に60代以上の方々とお見受けする観客で埋め尽くされていました。入場料が$52.50ですから若者にはちょっと敷居が高いというのはありますが、ある意味でジャズというのはトロントでは若者の音楽ではなくなっているのかもしれません。その分、ジャズが世界の音楽シーンの中で熱かった1980年代を知る我々にとっては、「懐かしくも嬉しい」ひと晩であったことは間違いなく、「あの頃」を思い出す一夜でした。