トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2013年6月11日火曜日

かつての駅舎が今はステーキハウス?

昨日は、久しぶりのロンドンへ(オンタリオ州)。初めて取材で訪れた昨年の晩秋から数えると、10回は軽く超えたのではないでしょうか。「Forest City」という愛称で親しまれる緑が美しいこの時期、ロンドンの夏の風景を楽しみに、車を走らせました。


あいにく道中のハイウエイは、時折前が見えにくくなるほどの土砂降り。これは写真は無理だなと予定を変更して、ロンドン観光局のマーティーさんに連絡すると時間が空いているとのこと。急遽ランチをすることにしました。(ちなみに彼はこんな方です・・

ロンドンで有名なイタリアン・レストランで待ち合わせて、日本への一時帰国のこと、最近のロンドンのことなどをお互いに話しているうちに、話題はVIA鉄道の旅に。驚いたのは、彼が列車の旅にとても詳しいこと。聞いてみると、1970年代にVIA鉄道で働いていたのだそう! 2週間の鉄道の旅のことを思い出しながら、特にVIA鉄道のことをいろいろ調べている最中だったので、彼の話に夢中で耳を傾けていました。

まず話題は、「Turn-Down」のことに。私が、「席に戻るとベッドメークがしてあって、ちょっとだけめくってあるベッドカバーのシーツの上に、チョコが置いてありましたよ」というと、「今もVIAはこのサービスをやっているのですね」と、とても嬉しそう。昔は食堂車でアフタヌーンティーのサービスがあったり、革靴を座席下に置いておくと、靴磨きまでやってくれたんだそうです。「ポーターはあらゆることに気を配り、乗客のためにどんなことでもしてましたよ。それがVIAのサービスでした。」と。「そうえいば、今も食堂車では銀のカトラリーとチャイナの食器を使っていますか?」とも。そんなに贅を尽くしたサービスを行っていたんだー、とびっくり。「いやいや、内装はマホガニーの壁でね・・・・」。もしかしたら1970年代のカナディアン号は、今よりもっと豪華だったのかも。


大陸横断のルートの話題になった時、「当時は『スーパー・コンチネンタル』」というルートと、あと何ていたっけな。カルガリーを回るもう一つのルートがあってね。」と。「それって、『カナディアン』のことではないですか?」と私が言うと、「そうそう! カナディアン」。「今は週3日の運行だけど、当時は毎日走っていたのですよ」とも。ちなみに「コンチネンタル」は北ルートの、バンクーバー〜ジャスパー〜エドモントン〜サスカトゥーン〜ウイニペグ〜トロント、さらにオタワ〜モントリオールまでを毎日運行。一方「カナディアン」は当時、バンクーバー〜カルガリー〜レジャイナ〜ウイニペグ〜サドバリー〜トロントの南ルートを運行していました。
後に「コンチネンタル」は廃止されて「カナディアン」に統合され、ルートもジャスパーを走る北ルートに統一されたという経緯があるのだそうです。

今回VIA鉄道の旅を経験して考えたことがあって、それを話してみると彼はとても興味を持って聞いてくれました。現代の旅は飛行機が中心。先日一時帰国する際に、エアカナダの成田行きAC1便で初めてビジネスに乗ったのですが、今回のVIA鉄道の旅を終えていろいろと調べながら思うのは、「19世紀の後半に始まった寝台列車の製造とその後プルマン氏によって大幅に改善された『走るホテル』と呼ばれる車両とサービス。長距離旅行の原型は、VIA鉄道に今も残るこの寝台列車のサービスにあるのではないか」ということです。
彼もこの私の考えに同意した上で、次のような話をしてくれました。
「カナダの長距離旅行の始まりは、鉄道の開通にあることは間違いありません。多くの労働者が鉄道の建設に従事し、彼らは報酬を手にします。それを当時は高嶺の花であった自動車の購入にあてたのですね。多くの人が自動車に乗るようになると、道路が整備され、ハイウエイが作られるようになります。例えばカナダを横断するトランスカナダ・ハイウエイがそうですね。ここをトラックが走るようになり、産業の振興にも一役買うことになるのですね。鉄道がやっていたサービスが、高速道路網が整備されることでトラック輸送にも振り分けられた、ということですね。」などなど・・・・
VIA RAIL / VANCOUVER TO JASPER 確かにVIA鉄道に乗っていると、たびたび列車は時間調整のために停車をします。上の写真はジャスパーに向っている時に車窓から撮ったものですが、遠くに見える先頭車両の上に長蛇の列をなして別な路線を走る貨物列車が見えます。こういう光景は珍しくて、多くは単線を走るVIAの列車が、貨物列車を先に通すという光景を何度も見かけました。

聞けば聞くほど面白い、カナダの鉄道の旅の歴史。ロンドンにも、鉄道旅行が華やかだった頃の名残がいくつも残っているのだそうです。その一つが、ロンドンのダウンタウンにある有名ステーキハウス「KEG」。昨日は時間がなかったので前を通るだけでしたが、「LONDON STATION KEG」というお店があって、かつてのカナダ・パシフィック鉄道(CPR)の駅舎を利用して外観を保持したものなのだそうで、実際に線路のすぐそばに建っていました。いや、今度はここでステーキを食べてみたい・・・
http://www.kegsteakhouse.com/en/locations/ON/london/london-station-keg/

さらに子供の頃の鉄道の話、蒸気機関車の話など2時間ほどがあっという間に過ぎてしまいました。鉄道模型の話にもなり、ジャスパーでゲットしたパークカーのミニチュア模型については次回に会った時に見せる約束をして、トロントに帰ってきました。

ロンドンはこれから来年にかけてビッグなイベントも行われるとのこと。これについてはまた別な機会に書いてみたいと思います。