トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2013年5月1日水曜日

佐藤琢磨選手、凱旋帰国報告会

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「おまたせしました!」
これが北米最高峰のモーターレースのインディー・カー・シリーズ、4年目(52戦目)で初優勝した佐藤琢磨選手がさっそうと舞台に登場した第一声でした。

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日本人レーサーとして初の快挙を達成したことを記念して、Honda(本田技研工業)の青山本社1階「Hondaウエルカムプラザ青山」にもうけられた特設会場に報道各社をはじめ多くの関係者が集まり、約1時間「凱旋報告取材会」と題した記者会見が行われました。偶然優勝したレースが行われていた時に日本に滞在していて、この取材会が行われる事を知ったたことから、急遽カナダ経由で取材を申し込んで行ってきました。なんという偶然!

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佐藤琢磨選手のインディーでの挑戦は、2010年のKVレーシングから始まりました。私はその前年からトロントで行われていた「ホンダインディー・トロント」を取材していましたが、上の写真は彼がトロントに初めて登場の時に撮影したものです。

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KVレーシングには2年在籍し、その後2012年にはレイホール・レターマン・レーシングに移籍。昨年はトロントでのレースにあたり、公式の記者会見にも登場(写真上)。いまだに語り草となっている昨年のインディー500。初優勝まであと一歩、最後の周回で果敢に1位を取りに行き、あわや優勝かと手に汗を握ったあのレースに話題が集まりました。今回もこれまでの経験を振り返った冒頭のコメントで、「何度か手にしかけた勝利が、こぼれ落ちるように勝てなかった」と彼の口から出てきたことばは間違いなくあのインディー500でのレースを指したものでした。

移籍先が年明けに発表になり、今年は「伝説のレース・ドライバー」と言われるAJフォイト率いるA.J.フォイト・エンタープライズで新たな挑戦が始まりました。そして第3戦でのサプライズ。会見でも度々語られた昨年のインディー500での戦いについて、「あの勝ちに行った挑戦が、大きな経験になった」と振り返り、今回の勝利に導いたマイルストーンだったことが感じ取られます。実はこの時のレースを見ていたAJフォイトが、このレースぶりを見て獲得に動いたといういきさつがあったようです。

「これまでが本当に長かった」。
とかくレーサーだけがスポットライトを浴びるこのスポーツですが、「チームワーク」という言葉が繰り返し語られたのには正直驚きでした。インディー・カーレースにおいては、「究極のエンジニアリング」「コースにいち早く戻すピットワーク」「マシンを速く走らせるドライビング」の3つがバランスして整うことが絶対条件。どれか一つが欠けても、どれか一つが秀でていても「勝つことはできない」と言わせるレースで、今回の優勝は見事が揃った「チームワークのたまもの」だと終始強調していたのが印象的でした。

優勝して初めて会話をしたのが、チームオーナーのAJフォイトだったというエピソードも披露されるなど、彼とチームとの信頼関係がとても良い状態であるようです。彼は終始、チームに対する感謝を語っていたのも印象的でした。

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記者会見の冒頭で彼が言っていた、レースに勝つ要素としての「ノーミステイク、ノーバッドラック」。
どんなに完璧なチームワークがあったとしても、ほんの少しのミスで結果が変わってしまうデリケートなインディーカー・レース。彼が指す「バッドラック」とは、自分ではコントロールのできない不測の事態。「さすがに一位で最終の周回に入った時は緊張しました」。チェッカーフラッグを目前にした最終周回は、喜びを抑えて石橋を叩いて渡るようなドライビングだったようです。

「すべてがうまくいった」、と言わしめた今回のレース。「まだまだ走りたかった」「本当に楽しかった」とレースを振り返る彼は、終始笑顔でした。「トレーニングをするだけで怪我をしてしまうほど、年齢を実感する」彼は円熟期に入ったとも言える36歳。レーサーとしては決して若くはないのですが、「レース中に押したり引いたり」ができるようになった分、体力のハンディキャップをカバーして余りある年齢のメリットも感じているようです。

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そして今回の優勝を頂点とすることなく、「ここからがスタート、さらに勝ちに行きたい」と闘志をあらたに燃やしているのは、まさに「佐藤琢磨スピリット」の真骨頂。

今回はホンダ・エンジンが表彰台を独占という、嬉しいニュースも。彼はシーズンオフにホンダ・エンジンの改良にも加わり、長所を伸ばし、欠点をつぶしてゆく地道な作業が「着実に成果を上げている」と胸を張りました。

ロングビーチという歴史のあるコースでの勝利をあとにして、これからは「良い思い出の多いサンパウロのレース」に始まる5週連続のタフなスケジュール。「次へ、さらに次へ」とアグレッシブに勝利を目指す姿には、自信も伺えます。

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7月には待望のトロントでのレース。今年こそ日本人レーサー佐藤琢磨の優勝の瞬間を、目の前でぜひ見たいと心待ちにしています。

トロントでのレースの概要についてはこちらもご覧下さい。
http://blog.makotophotography.ca/2013/01/blog-post_10.html