トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2013年1月23日水曜日

トロントで味わうスコットランドの伝統行事「バーンズ・ナイト」


かつてはイギリスの植民地であったカナダ。19世紀初頭には、イギリスから大挙して人々が移民をしてきました。この流れは現在も続いていて、2006年の国勢調査によるとスコットランド系カナダ人の割合は人口の15%を占めているとか。彼らを最も多く受け入れているのが植民地時代にアッパーカナダと呼ばれた現在のオンタリオ州。特にトロントには多くのスコットランドからの移民が住んでいます。当然彼らはスコットランドの伝統行事を行うのですが、最も有名なものと言えばそして毎年1月25日に行われる「バーンズ・ナイト」(あるいは「バーンズ・サパー」)が挙げられます。

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バーンズとは、18世紀にスコットランドで活躍した国民的詩人のロバート・バーンズ(Robert Burns)のこと。日本では「蛍の光(Auld Lang Syne)」として歌われているスコットランド民謡で有名ですね。本国では今でも文化の中心的な位置をしめ、広く国民に愛されている詩人として紙幣に肖像が印刷されているほどの歴史的有名人。
「バーンズ・ナイト」とは、この国民的詩人をおぼえて祝う記念日。ここトロントでも本国にならい、スコティッシュ・パブなどで毎年この時期になると伝統にのっとったディナーが提供されるのです。そこでどんなお祭りなのかを体験するため、昨年の1月25日に取材をさせてもらいました。

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向かったのはトロントのダウンタウンにあるパブ「DUKE OF WESTMINSTER」(http://westminster.thedukepubs.ca)。この日に限り行われる特別行事の時間になると、バグパイプを演奏する正装をした紳士に先導され、拍手によって迎えられうやうやしく登場したのが伝統料理「ハギス」。

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見た目は巨大なハムのかたまりといういでたちの料理の正体は、羊の内蔵、オート麦、たまねぎ、ハーブを羊の胃袋に詰め茹でた(あるいは蒸す)詰め物。このハギスを前にして伝統にのっとりスピーチ(バーンズ作「ハギスに捧げる詩」の朗読)が行われると、皆そろって乾杯! ハギス・ディナーで食事を共にします。食事をしていると、バグパイプの一団がスコットランド民謡を演奏しながらパブの中を練り歩き、ムードは一気にアップ。まるでここはトロントではないかのような錯覚に陥ります。

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私も取材の後、バー・カウンターで「ハギス・ディナー」を実際に食べてみました。お皿には先ほどのハムのかたまりのようなものがカットされ、マッシュ・ポテトとカブのマッシュしたものがついてグレービーとともに食します。ハギス自体は濃厚でねっとりとした「腸詰め!」そのものの味わいですが、思ったほどクセがなかったのには驚きました。お皿にちょこんと乗っているショットグラスには、スコッチ・ウイスキーが。これをまずグイッとやってからハギスをいただくのがスコットランド流なのだそうです。

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バグパイプの音楽をBGMにハギス・ディナーをいただく。故郷に思いをはせるスコットランド系カナダ人のみならず、私のようなスコットランドに縁もゆかりもない者も、トロントにいながらにして本場の伝統行事が味わえる。これこそ「移民の街トロント」の面目躍如というところでしょう。

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今年も例年のように古式ゆかしい「ハギス・ディナー」が市内各所のパブなどで行われています。このディナーは期間限定なので、興味のある方は25日にぜひどうぞ!