トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
自己紹介はこちら

2012年6月2日土曜日

起きてはほしくないことだけど・・

Untitled
「トロント・イートンセンターで発砲事件発生」。土曜日午後7時頃、パトカーや消防車のサイレンで外が騒がしいと思い流れてくるツイートを見ると、事件の速報を伝えるこの投稿が地元テレビ局のCP24から行われていました。速報によると事件が起きたのは午後6時半頃、記憶を辿っても最近トロントのダウンタウンでの発砲事件(日中)を聞いたことがなかったと思いつつ、なぜこんな悲惨なことがダウンタウンの真ん中(Urban Eateryというフードコート)で起きてしまったのかという感を強くしました。

Untitled

午後7時過ぎ、我が家から歩いて5分の現場はすでに警察/消防の車両で埋め尽くされ、ヤング通りはダンダスとの交差点から南行きが閉鎖、クイーンまで車両は通行止めとされていました。ここは地下鉄ダンダス駅があり、イートンセンターへ出入りする人や地上のイベントスペースに向かう人など特に週末は多くの人で賑わう場所としても有名で、事件発生当時はちょうど目の前のヤング・ダンダススクエアというイベント広場で行われていたイタリア・フェスティバルに大変な人が集まっている状態でした。
混乱を避けるため、地下鉄ブローア・ヤング線は事件直後に一時運行停止の措置が取られ、その後地下鉄は運転を再開、イートンセンターに直接入れるダンダス/クイーン駅のみを通過とし、ストリートカーのクイーン線(501番)も事件直後から現場付近は迂回措置が取られていましたが、土曜日午後9時半過ぎに通常運転に戻りました。
なお、イートンセンターは事件直後から閉鎖、6月3日(日)も終日休業、地下鉄もダンダス/クイーン駅は通過と発表されています。

Untitled

Untitled

事件の詳細については徐々に明らかになっています。発砲事件は土曜日の午後6時15分頃、夕食どきでかなり混雑していたイートンセンターの地下にあるフードコート南側で突然起こり、発砲直後の現場は逃げ惑う人でパニック状態になったと報じられています。その後警察によりイートンセンター内にいた人はすべて外に出されてすべての入り口は閉鎖、同時に負傷者の救助と犯人の捜索が行われましたが、事件の一報では負傷者が複数出ているとの報道がツイッターで行われたものの、犯人の情報も含め詳細は分かりませんでした。
私が行ったときはイートンセンターのドアはロックアウトされ、建物の中にはセキュリティーと警察官が巡回パトロールをしている状態で、特にヤングダンダス・スクエアのあるヤング/ダンダスの交差点付近には多くの人が集まり、シャトルバスが待機する中で運行が始まらないバスを横目に、帰宅のために地下鉄駅を探してヤング通りを徒歩で移動する人で歩道は行列となりました。

Untitled
警察による公式記者会見が行なわれたのが午後10時すぎ(この事件はHomicide #21/2012)、犯行は単独犯が濃厚な発砲事件であり、犠牲者は死亡者一名、六名が負傷し病院に搬送(当初は負傷者七名との報道あり)、現場の状況から無差別的な乱射ではなく特定の人物を狙った犯行と見られること、複数弾が発砲されたため流れ弾が周辺にいた関係のない被害者に当たり被害が拡大したこと、犯人は犯行直後に現場を立ち去り、混乱に乗じて逃げ惑う群衆とともに逃走、現在も逃亡中と発表されました。トロント市警の所長はこの事件にたいして「非常に冷血で残忍な犯行である」との声明を出しています。
トロント市の市長も一方をラジオで聞き現場に駆けつけており、この事件がトロント市に与える影響の大きさを物語っています。特に事件の巻き添えとなり重体と発表された負傷者の中に13歳の少年がいたことは、大きな衝撃を持って伝えられています。

Untitled
この日は6月最初の日曜日、午後にはトロントのダウンタウンの西にあるビーチ地区で行われている「ウォーターフロント・ブルースフェスティバル」に行き、その帰りに立ち寄ったヤング・ダンダススクエア(イートンセンターの真ん前のイベント広場)ではちょうど「PIZZA ITALIA」というイタリア関連のフェスティバルに大勢の参加者が集まり、ごった返しているところでした。
ほんの数時間前まで「いつもの平和ないつものダウンタウン」の風景であったものが、事件の情報を得て同じ場所に戻ってみると辺りの雰囲気は一変、騒然とした状況になっていたのは誰もが予想だにしなかったことでした。

Untitled

Untitled
トロント市警の発砲に関する統計情報をホームページで見ると、「Year to Date」の発砲事件は2009年に97件、10年には72件、11年には69件と減少傾向にあったものが今年12年に入ってから急増し99件と09年レベルに戻っています。発砲による犠牲者(怪我および死亡)の人数統計も同様で、09年の122人から現象傾向にあったものが今年になって121人と、09年のレベルに戻ってしまいました。

今回の事件が普段から観光のため多くの人が集まる名所の一つであるイートンセンターで起きたことで、今後改めてトロントで後を絶たない発砲事件の現状に光が当てられることと予想されます。この場所は、私たちも普段買い物に行く場所だけにこういうことは絶対起きてほしくないと強く思うとともに、統計でも明らかなように、繰り返し起きる発砲事件に対してなかなか有効な手だてが見つからずにいる現状に、問題の根深さがあるように思えてなりません。

いまだ重体のままである被害者のことを思いつつ、一日もはやく犯人が確保され、事件の背景と共に今後こうしたことが二度と起こらないために何ができるのかが解明されることを切に願うものです。

【先ほど(日曜日午後2時)よりトロント市警で行われた記者会見で、以下の点が発表されました】

1)事件は、6月2日(土)午後6時20分頃に、イートンセンター地下フードコート「アーバンイータリー」、北の端(ダンダス寄り)で起こった。
2)死亡したのは24歳男性で、複数の銃弾を受け現場で死亡を確認。その他6名が病院に搬送された。また避難中に怪我をした妊婦については安定している状態である。
3)病院に搬送された6名のうち現在2名が重体。13歳の少年は頭に銃弾を受け危険な状態ながら治療の成果が見られ、安定している。23歳男性は首と胸に複数の銃弾を浴び、非常に危険な状態。
4)犯行は死亡した男性を目的としたもので、無差別的な発砲ではない。被害者の中にギャングに関係している人物がいるものの、この犯行がギャングによるものかどうかは不明。また被害者の中に第二の標的とされた者がいる可能性がある。使用された拳銃は一丁で、打ち合いになった形跡はない。
5)捜査すべき犯行エリアはイートンセンター全体と範囲が広いため、鑑識作業は今日夕方までかかる予定。その後はイートンセンターの営業再開準備が行われる。
6)セキュリティーカメラの映像の分析を進めており、初期段階としては十分な情報が得られている。
7)現場にいて写真あるいはビデオを撮った方はぜひそれらを提供して捜査に協力して欲しい。方法については明日発表する。
8)フードコートにいて私物をその場に残した方は、明日には受け取りの方法を発表する。

この後、トロント市のロブ・フォード市長も会見に応じ、「トロントは安全な街、犯人は必ず捕まえる。」と宣言した。フロアからは「ダウンタウンの中心での発砲事件は、2005年以来2度目だが」との質問に対しては「前を向いて進むのみ」と応えた。