トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2012年1月7日土曜日

ロケーション撮影をしながら考えること

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今週は「地球の歩き方 東部カナダ版」のトロント特集ページ用の撮影でほぼ一週間のスケジュールが埋まってしまいましたが、とても良い経験をさせてもらっています。トロントに住むものが紹介をする、というのはきわめて自然なことでもあり、軽いプレッシャーを感じながらも楽しい撮影が続いています。

特に毎晩自分が撮影したものを一枚ずつ確認しながら選定する作業は、時間はかかるものの充実した時間でもあります。カメラのファインダーを通して見たものと、パソコンの画面を通して見るものは、イメージとしては同じなのですが若干違う。自分の撮った写真から学ぶことはとても多いです。



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前回書いたことですが、行く先々でシチューエーションは変わるのでその場所に入った瞬間から「ここはどういう場所なのか」ということを考え始めます。ライターさんがインタビューをしている間にまずは全体を歩き、一通り目で確認。今回程「第一印象」が大切である、ということを感じたことはありません。

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何を撮るべきか、何は撮らなくても良いのか、それは立っている場所から受ける印象をしっかりつかむことから始まります。開店前の場合は現場もゆったりしていて準備の時間は十分取れますが、レストランの場合はその日の仕込みの大事な時間帯。撮影は驚くほど短時間で終わりますから油断は禁物。

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制約が多いのは営業時間中の撮影。「周りのお客様の迷惑になってはいけないので、目立たないようににやってください」という指定がつきます。その場合はNikon軍団はバッグに収め、カメラをコンパクトなRICOH GXRに持ち替えます。スナップカメラとして首にぶら下げているわけですがレンズはプライム(単焦点)ですから写りは申し分なく、シチュエーションによってはメインとして十分に使えます。ただ営業時間内の撮影直後は写真の確認項目が多いので気を使う事が多いのが難点。フラッシュや三脚が使えないので、光を読んでどこに座るか、ということが重要で、店内に入ってから数分が勝負です。

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この現場の第一印象は「おー、ロマンティック!」。ライターさんの取材が一段落した所で撮影のリクエスト等についてオーナーさんと会話をしながら段取りを打ち合わせしますが、まずは「お店のポジティブな印象を正確に伝えること」。私がどのような感覚でいるのか、ということを話すことでカメラマンの私が知っておくべき情報がどんどん入ってきます。オーナーさんの人柄は写真にも影響します。どんな思いで仕事をしているのか、ということを知ると現場に対する理解が深まり、自分なりに手応えのある写真が撮れるようになります。そういう写真を使う雑誌である、ということが「地球の歩き方」そのものを規定しているとも言えますが、取材現場では沢山の「会話」が行われています。このことはとても重要で、ほんのちょっとした会話のきっかけから撮るアングルが変わることがあります。

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「会話」ということで興味深いと感じることですが、ライターさんのインタビューの時間は「記事になる」情報で概略を説明する時間にあてられる場合がほとんど。でもカメラマンの私が話しかける時間帯は、リラックスモードにギアチェンジして「ちょっといい話」が出てくる時間帯。この意味では今回ライターさんと私の息はバッチリ合っていて、とても良い感じで取材が進んでいると思います。本編の記事になるかもしれないのでここでは書きませんが、この絵の秘密であったり、ご夫婦の絶妙のコンビ(私はこのご夫婦の関係がレストランそのものじゃないかと思っているのですが)であったり、店内で起きたとっておきの話題であったり、ほんのちょっとした瞬間にキラリと光るものが続々と出てきます。

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この撮影はあともう少し、この時間が終わってしまうかと思うとちょっと残念でもありますが、撮ったものをお互いに共有しながら問題点等を話し合い、さらにより良いものに、そして紹介したいテーマに迫って行く作業が続いています。