トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2011年12月31日土曜日

2011年を写真で振り返る(後編)

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今年は一人で仕事をするようになってからちょうど10年目になるということを、こういう形で知るとは思いませんでした。NYで行われるファッションウィークのイベント撮影の依頼を受け、今年があの「アメリカ同時多発テロ事件」が起きた9/11の10周年に当たることを知ったのはネットで街の情報を調べている時、さらには滞在日程が「その日」の前日までという巡り会わせ。
今年が始まる前に「旅だ」ということを言い、その言葉通りに「上海」「香港」「モントリオール」と積極的に自分を動かしていったのですが、自分の言葉がこういう所に向かっているとは。写真はヘリコプターに乗って、「グラウンド・ゼロ」を見下ろした瞬間に撮影したもの。未だにあの黒い四角く開いた穴が崩れ落ちたビルの跡であるということを思うたびに、何とも言えない気持ちになります。

「9/11」が起きたのは10年前のこの時、私が地元旅行業界のサポートの約束を得つつ独立したその1ヶ月後(!)。その後私の生活にも大きな影響を与える出来事になっていく事件であることを、思い知ることになりました。その後「SARS」や原油高騰がありトロントの観光業界は壊滅的な打撃を受けるなか、「SARS」の折りに香港と多くの人の交流があるトロントがテレビニュースなど大手メディアから注目され、「メディア」というものが一体何をしているのかをかいま見、それ以来「自分の目で何が起きているかを見る」ことを何よりも優先するようになりました。


話はNYの時のことに戻りますが、撮影が夜だけであったこともあり早朝からNYの街を歩き写真を撮り、「自分の目の前で起きていること」をリアルタイムでツイート(EventJot)するということを思いつきました。今思えば何かに取り付かれたような状態であった気がしますが、直感的にこのことは「今しかできない」という気持ちに駆り立てられていたのが正直な所です。そして本当に楽しかった。



オリジナルはすべて【撮影日記】の方にリアルタイムで入って行ったのですが、上のEventJotは後から再構成して時間軸にあわせて最初から見られるようにしたものです。トロントに戻ってからやっているので何かが足りないのですが、、、、

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RICOH GXRをEyeFiカードでiPhoneにつなぎ、iPhoneを3GS回線につなぎっぱなしにしてガイドブックや地図を一切持たずに街歩きをしました。もともと方向音痴の私、迷いながらも楽しく街歩きができたのは、リアルタイムで流れてくる情報をキャッチすることができたからです。その意味でiPhoneというのは本当に良く出来ている、と思います。

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同時に、こういうことがこの10年で可能になったのだという感慨があります。私が最初にお世話になったトロントの翻訳会社に入った時はFAXが主流でemailがようやく始まったばかり、しかも「電話回線」につながないとインターネットには接続できない時代でした。当時は旅行パッケージを買い、ガイドブックを片手に観光するという時代。しかし今ではインターネットはケーブルをつなぐ必要がなく、コンピューターも電話と一体になったコミュニケーションツールとしてついに手のひらに乗る時代です。

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私が今できることは、オンラインでつなぎながら「その時に感じたこと」をもとに行動をする、ただ必要なことは「その時に自分は何がしたいのか、何が楽しいと感じるのか」ということ。あとはインターネットが情報につなげてくれます。旅のかたちは大きく変わろうとしています。テクノロジーの変化は、ガイドブックに書いてあることのみを頼りにするのではなく、ガイドブックを書いている人、現地に住んでいて場所を良く知っている「人につながること」を可能にしています。

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今後もっと多くの人がこうした状況を気軽に体験できる時代がまもなくやってくる、と感じています。それがこの10年であり、未だに旅行業界とつながりを持ちながらこういう旅をしてこういうブログを書いている、という所に私のこの10年があったのだと、そのように強く感じています。
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このEventJotというアプリとの出会いは今年の2月頃、まだ公開前のこと、あるミーティングに出席していて回ってきた資料の中に情報が入っていて、その日の主題とは全く違うこの資料が何故入っていたのかは分かりませんでしたが、読んですぐ「直感的に面白い」と思ってしまったのがそもそもの始まり。

その場で担当の方を紹介していただく約束をとりつけ、アプリの公開を待って使い始めてみるとやはり「直感的に面白い」。特にGXRというカメラとEyeFiというカードを経由してiPhoneに接続できることを知ってから(後で分かったのですが、この情報は開発チームの方がネットに上げた情報だったのですね)は、GXRとiPhoneをどこにでも持って行くようになりました。そしてiPhoneと輪ゴムを結びつけるという前代未聞のシステム(?)を思いつき、あらゆる所からツイートをし、今ではイベントの総数は28にのぼります(詳細はこちら)。

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特に記憶に残っているのは、「カリビアン・カーニバル」の撮影をしていた時。「Makoto こっちに来い」と言われ、「はい、名前をアルファベットで、所属は?」とCBCのニュース・クルーのカメラの前に突然立たされた時は本当に驚きました。


上の写真は夕方5時のニュースの画面です。ナレーションは「伝統的なカリビアン・カーニバルではあるけれども、ハイテクの流れがここにも訪れ、写真で世界に向けてツイートをしているカメラマンがいる」というような内容でした。パレードの様子はEventJotを使って同時中継され、いまも公式ウエブサイトで見ることができます。(ウエブサイトはこちら

Caribbean Carnival Grand Parade 2011
ニュースが流れたのが7月初旬。ニューヨークは9月。私のまわりで写真を巡る状況は確実に変化しているということを体感するような一年でした。

Rogers Cup - Day 09
下のEventJotは8月に行われた「ロジャースカップ・テニストーナメント」をカメラマン席でツイートしたものです。両隣のカメラマンからも「お前はそのちっちゃいカメラでなにをやっているんだ」といろいろと質問を受け、ほぼ全員が不思議そうな顔をして立ち去っていったのが印象的でした。



そして9月、こんな元気な方々が日本とカリフォルニアからトロントを訪れ、「Canada Runs for Japan」の活動に参加してくれたこともうれしいニュースでした。



この方々とはこの後すぐ11月にもう一度日本でお目にかかりました。大事なことは、EventJotを通してネット上で出会った私にはるばる日本から会いに来てくださったということ、そして私自身彼らにもう一度会いたいと思ったということなのです。技術がどんなに発達しようとも人が何かを思う時、そこには必ず誰かと共に分かち合いたいという気持ちがあるはずです。その気持ちの部分にEventJotは触れているのではないか、そのように感じていて、そのことをより深めて行く希望を持って新しい年を迎えられます。



トロントはあと8時間ほどで新年を迎えます。振り返ってみれば、多くの方々と出会い色々な形で支えられて来たことは、ただただ感謝です。

一年間ブログを読んでくださった皆様、どうもありがとうございました。

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来年は、今年以上に新しい展開があるのではないか、そんな予感がありますが、新しい年もどうぞよろしくお願いいたします。

2011年12月31日
MAKOTO