トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2011年5月12日木曜日

1時間19分

トロントで開催中の「Contact Photography」。日本人として唯一参加の写真家中野晴生先生の展示が、ジャパンファウンデーションで行われています。インタビューの依頼があったのが先週末のこと。これも何かのご縁と引き受けさせていただきました。お目にかかると大変気さくな方で、30分を予定していたインタビューが1時間19分にも渡ってしまいました。お忙しいスケジュールの中、私にとっては大変興味深いテーマがいくつも浮かび上がってきて、あらためて録音を何度も聞き直しながら、あれも聞いておけば良かった、これも聞いておけば良かったと思いつつ、原稿の準備に入っています。詳細は来週号のe-nikkaに掲載予定ですので、ぜひご覧ください(ま、宣伝というわけではないんですが・・・)。
で、そのインタビューの準備をしている間に思ったことなんですが、読める限りの資料をあちこち探しまわり、月曜日には写真展を拝見させていただくうちに、やはり写真展というのはすごいなぁと思うのですね。私自身トロント在住のカメラマンとして色々な場面の写真は撮影しているものの、芸術的な作品となる写真には縁遠い毎日。私の撮った写真は、例えばこのブログになったり、ウエブサイトに掲載されたり、地元日系新聞のウエブサイトe-nikkaの取材記事の中に使われたり、観光局のパンフレットに使われたり、ストックフォトになったりするわけで、それは自分の作品というよりも、その場その場での記録という意味合いがとても強いものです。室内、屋外、コンサート、イベント、スポーツ、時事ものとありとあらゆるものを撮ってきました。
不思議なことなんですが、昨年後半あたりから写真展というキーワードが出てきていて、「写真展の世界」というものに関心を持ち、今年のはじめ上海/香港に行ったおりに立ち寄った日本でも時間をつくっていくつもの写真展に足を運んだりしていました。偶然ですが、今回の「Contact Photography」についても、トロント観光局のお誘いでメディアツアーに参加することになって、さらに写真展が身近になってきていた中で、こういう機会が与えられたことは不思議なことだなあと思うのですね。
インタビューの間にどんな会話がされていたのかをここで書いちゃうと、せっかくのインタビュー記事が台無しになってしまうので、ここではちょこっとだけこぼれ話を。インタビュー終了時の一こまを。録音を止めた後に、中野氏から一つだけ写真展に関する質問をいただきました。質問とは私が「写真展を見てどのような感想を持ったかを率直に聞かせてほしい」というものでした。残念ながら録音記録は残っていないので、記憶をたよりに、、、ただ、このテーマはインタビュー前からずーっと考えてきたことなので、それをお伝えできる機会があったことは感謝なことでした。

「一言で言い表すのはとても難しい質問ですが、、、、月曜日に時間をかけてお写真を見ているうちに、この展示場が「伊勢神宮」という場所と繋がっているように強く感じたということは申し上げられると思います。神道が「神様はあらゆるところにおられる」という教えを持っていることであるとするならば、こうして日本から遠く離れたトロントと伊勢神宮が繋がるという出来事が、この写真展で起きているというような、、、ちょっと間違った考えかもしれないのですけど。。。

あともう一つ、お写真を拝見していて、写っている方々の視線が、あの若い神官の方、夜のシーンで炎が燃えているのを、右手に火箸のようなものを持って見上げているあの写真以外は、皆さん目を伏せているのですね。それがとても自然に見えたのです。神様を感じながら歩いている、というか。想像でしかないのですが、そういう意味で視線を落として歩かれているあの方々の生活というものが伊勢神宮にあって、それは外から見ると特別な宗教的な行事であったり、日常ではない瞬間なのでしょうけれども、あの方々はそれを毎日のこととして、日常として暮らしておられるように感じられるのですね。その日常は、「これはこうしなさい」とか「あれはこうでなければならない」とかということでは決してなく、心から、自然体で、神様を感じながら敷地内を歩き、礼拝というのでしょうか、玉砂利の上でひれ伏す。それを快しとされているこころの風景というものに、とても心惹かれる思いがあります。それがこの作品の中ににじみ出ているように思うのですね。そういう人々の暮らしというものが伊勢神宮にあるんだなぁということですね。私は申し訳ないことに、一度も伊勢神宮に行ったことはないのですが、もし訪れる機会が将来あった時には、そういうことを、実際に目の当たりにしたり、思うのではないかなとも思います。」

こんなことをお話申し上げたような・・・この後私が一番心惹かれた写真のことを少しお話したのですが、次回もしお目にかかることができる機会があったら、ぜひお写真そのものの話をお伺いしたいなぁと、、、、今頃は帰国のために機上の人となっておられるのですが、ますますのご活躍をお祈りしつつ。